新型コロナ禍で独再エネ界に異変
〝コロナショック〟の経済的影響は計り知れない。ドイツでは再エネ業界にも異変が生じている。(ドイツ在住環境アナリスト・西村健佑)
ドイツでは、新型コロナウイルス感染症による致死率が近隣国より低いものの、2020年4月11日時点の感染者数は約12万人、死者数は2600人を超えている。これを受け、ドイツ政府は20年のGDP(国内総生産)が前年比5%減るという大幅縮小を予測。操業短縮時の従業員の給料補償や企業の社会保障費の免除、自営業者向け運営費の補助、企業向け融資の緩和や失業手当の拡充などに90兆円弱を拠出し、州政府も支援に上乗せしている。
この状況下、再生可能エネルギー業界への影響が出始めた。ドイツ国内に生産拠点を持つメーカーは手持ち在庫で初夏まで対応できるようだが、中国から太陽光パネルなどを輸入する販売会社や設置業者は、調達に支障が出ており、在庫の逼迫や値上げの影響を受けている。事実2月半ばにはパネルの仕入れ値が一時20%上昇すると言われた。
現在ドイツでは、州によって違いはあるものの、2人以内の外出や労働は認められている。住宅用太陽光発電設備の設置は2人で作業できるため、工事を続ける業者もあるが、新規案件の獲得はメールと電話に限られており、思うように進まないようだ。
工事の遅延は避けられず、連邦ネットワーク規制庁は20年3月1日以前の入札で落札した案件については、コロナショックの影響で稼働開始日が期日を遅れても例外的に案件の取り消しや売電単価を減額しない措置を決めた。ただ、部材の価格が上昇すると、採算性の見直しに迫られる事業者も出てくる。
またコロナショックの経済対策に財源が割かれ、バイエルン州は蓄電設備の補助金申請を一時停止した。これは19年8月1日に始めた新設の太陽光発電設備に併設する蓄電設備を補助する支援制度で、年末までに7200件の応募があったという。今回の補助金一時停止で蓄電設備の導入が減速する懸念もある。