国内大手が住宅用蓄電池から撤退
NECに次いで東芝も
消費者目線の値付けを
ともあれ、メーカーがコスト低減を進めない限り、市場は拡大しないし、結果としてメーカーは生き残ることができない。
現在、住宅用蓄電設備の市場規模は年間5万台程だ。住宅用太陽光発電設備が同20万件と考えると、市場拡大の余地は大きい。さらにいえば、太陽光発電設備が設置されている住宅は累計230万棟あり、そのうち50万棟が来年10月でFITの買取り期限を終える。それらが自家消費に移行すると考えれば、なおのこと市場は広がっていくだろう。
しかし、住宅用蓄電設備の導入価格が1台200万円程度と高額なままでは市場の発展性は乏しい。消費者が購入しやすい価格帯、最低でも100万円以下に落とす必要がある。
コスト低減の方法は様々だが、たとえば、パナソニックのように、車載用を含めた蓄電池から蓄電設備までを一貫で手掛けることでスケールメリットを活かす手法もあるだろう。
あるいは流通改革だ。失敗したテスラの直販モデルが有効とはいえないにしても、メーカーから末端の施工・販売会社まで業者が3社も4社も介在する流通構造は見直すべきだ。
いうまでもなく、性能や品質、ブランド力だけで製品は売れない。消費者の購買意欲を満たす価格にしなければ、売れないのである。国内メーカーが住宅用蓄電池市場で生き残るためには、コストに真正面から向き合う覚悟と、確かな勝算が必要なのではないか。