中国ZTEクァンタムがドロン
メーカー責任を放棄
中国のPCSメーカー、ZTEクァンタムの日本法人が忽然と姿を消した。顧客サービスを停止し、一切の責任を放棄。販売代理店が困惑している。(本誌・川副暁優)
「こんな無責任な対応はあり得ないだろう」。
呆れ顔でこう語るのは、都内で太陽光発電所の販売・施工を手掛けるフォレストの森春幸会長兼CEOだ。同社は2013年からZTEクァンタムのPCS(パワーコンディショナ)を扱ってきた販売代理店だったが、今夏からZTEクァンタムと連絡が取れなくなったという。
そして9月11日、日本法人ZTEクァンタムジャパンの代理人と称する弁護士法人、NYリーガルパートナーズから「破産手続きに着手する」との一報が届く。
関係者によれば、ZTEクァンタムジャパンはすでに社員を全員解雇し、10月17日に東京都中央区築地の事務所を解約する手筈になっていたようだ。
ZTEクァンタムと取引していたのはフォレストだけではない。太陽光発電所の施工大手ウエストホールディングスやエコスタイルのほか、ログマックスやゲンバカンリシステムズなどの販売・施工会社も、日本法人を介してPCSを調達し、太陽光発電所に仕上げて顧客に販売。その数1万5000台にのぼるとみられる。
それだけに、各社は頭を抱えているが、そのひとつが、ZTEクァンタムジャパンが所有していたサーバの機能停止だ。同社はPCSの発電情報をサーバで集中管理し、ウェブサイト上に公開する遠隔監視サービスを提供していたのだが、それが突然停止した。
事実、ZTEクァンタムのPCSを用いて低圧太陽光発電所を建てた宮崎県延岡市在住のある発電事業者は、「8月20日頃から(ZTEクァンタムの)サイトにログインできなくなった」といい、さらに、「9月20日に現場に行くと、メーターが止まっていた。確認したところ、本来10万円程になる売電収入が8月21日からの1ヵ月間は2300円しかなかった。8月22日辺りからPCSが止まっていたのでは」と話す。
太陽光発電所を建設したエコスタイルは、「ZTEクァンタムに問い合わせたが、連絡が取れなかった」(同社経営企画部の中津留克彦執行役員部長)。結局エコスタイルの負担でPCSをすべて取り換えている。