北海道大停電で見えた太陽光発電の意義と課題
北海道胆振地方を襲った大地震で全道が停電に陥る〝ブラックアウト〟が発生した。北の大地が闇に沈むなか、太陽光発電の意義と課題が示された。
9月6日未明に起こった北海道胆振東部地震で、北海道全域、295万戸の停電という前代未聞の事態に陥った。地震発生から24時間を経た7日午前4時でも180万戸以上で停電が続き、道内の小売店は物流網の寸断で品薄に陥ったにも関わらず、水や食料品を求めて道民が殺到した。
札幌市清田区内で理髪店を営む橋本圭弘さん(43)は、「スーパーで食料を買うためには4時間くらい並ばなければならなかった」と当時の状況を語る。
大停電の引き金は、厚真町南部にある『苫東厚真火力発電所』の被災だ。最大出力165万kW、道内のピーク需要380万kWの半分近くを賄っていた道内最大の火力発電所が緊急停止に追いやられた。これによって、電力系統の需給均衡が乱れ、周波数が変動し、他の発電所が故障する危険性があったため、北海道電力は道内の全発電所を停止せざるを得なかった。
被災直後、北電は、同発電所の復旧に1週間以上かかるとの見通しを示したが、11日の世耕弘成経済産業大臣の発表では、3基ある炉を順次再稼働していくものの、全面復旧は11月以降になると明らかになった。ボイラー管が損傷し、タービンが出火したほか、敷地内で液状化も起きているという。
北電は現在、供給電力を346万kWまで戻し、道民に節電を呼びかけるなどして計画停電は避けているが、老朽化した発電所も動員して供給を維持している状況。当面需給の綱引きが続く。
大規模集中型の電力供給システムが脆弱であることは、福島第一原子力発電所事故で露見した。それゆえ、政府は従来の電力供給システムを改め、電力システム改革を推進、2020年には発送電分離を控えている。
だが、再び大規模集中型の脆弱性が大停電を引き起し、電力供給システムの弱点が浮き彫りになった。送電インフラで需要家に電気を供給する仕組み自体に変革が必要なのではないか。