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大型台風が西日本を直撃

太陽光発電所が多数損壊

設計基準を満たしても…

不適切な設計が原因で損壊した太陽光発電所は少なくないだろうが、今回は設計基準を満たしていた発電所も数多く被害を受けている。つまり、架台の設計用荷重の算出方法を示した『JISC8955』が、設計用基準風速として規定する以上の強風が吹き荒れたわけだ。事実、大阪府泉南郡田尻町におけるJISの設計用基準風速は34m/秒だが、町内の関空では最大風速46.5m/秒を観測した。

ならば、設計基準を見直すべきなのか。すでにJISは2017年3月に改正され、設計者にはより高い強度の設計が要求されるようになったが、これをさらに引き上げる必要があるのか。

むろん、いかなる強風が吹き荒れようと倒壊しない設備は理想だが、建設費は嵩み、太陽光発電の経済メリットは薄れてしまう。この辺りは、今後議論の余地はあるが、現状はJISに基づいて太陽光発電所を建設し、事前に台風被害が想定される場合は、進路や速度を確認しつつ、台風が通過した後は迅速に現場へ向かうべきだろう。

ウエストHDの事業会社、ウエストビギンの中村公俊取締役は、「大切なのは、事故後一刻も早く現場に駆けつけ、発電事業者や周辺住民に安心してもらうこと」とし、「電気とハードウェアの両面から太陽光発電設備のO&M(管理・保守)を実施できる体制を整える必要がある」と強調する。

ウエストHDが建設を手掛けた太陽光発電所のうち、台風21号で20基弱の設備の一部が損壊した模様だが、同社は9月12日頃までに応急措置を済ませ、9月末までには全現場で今後の復旧計画を固める方向だ。

堺市のメガソーラーも、運営する関電は台風が去った翌日のうちに損傷した箇所を切り離して発電を再開したという。

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