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大型台風が西日本を直撃

太陽光発電所が多数損壊

停電時こそ本領発揮

今回の大型台風は各地で停電の被害をもたらした。関電によれば、4日午後9時の時点で170万戸が停電し、京都府や和歌山県の一部では、復旧に10日以上を要したところもある。実際、11日に和歌山県有田郡有田川町東大谷地区を訪れると、4日正午に停電が発生して以来、1週間経っても復旧していなかった。

同地区に1人で暮らす澤田伊都子さん(79)は、「これほど長い停電は、1953年の紀州大水害の時以来だ。電気が使えないと、とても不便」とため息をつく。

同地区に住む大硲金一さん(77)は、「木が倒れて電線を切断し、停電が発生しているようだ。この辺りはお店がないから、通常は1回の買い物で1週間分の食料を購入するが、停電で冷凍庫が使えない。今は2日に1回買い物に行かなければならない。妻には持病があり、私も目が悪く、運転は大変だ」と嘆く。周辺には空き家が多く、住民同士の助け合いも難しいようだ。

その一方で、住宅用太陽光発電設備が活躍していた。同地区の前北敏夫さん(69)は、1年前に自宅と倉庫の屋根に計10kWの太陽光パネルを設置しており、自立運転機能への切り替えを済ませると、「久しぶりに電気が使えてうれしい」と喜ぶ。

ただ、前北さんが自立運転機能に切り替えたのは停電発生から1週間後だった。設置時に販売会社から説明を受けていたものの、「蓄電池がないから太陽光発電は使えないと勘違いしていた」(前北さん)。販売会社はすでに倒産しており、連絡がなく、自身の勘違いにしばらく気がつかなかったのだ。

住宅用太陽光発電は停電時に役立つが、自立運転の仕方を忘れている所有者が多い。災害の際は、販売・施工会社が責任をもって対応するべきだろう。

自立運転機能が使えるようになって喜ぶ前北さん

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