神戸市、勇み足の太陽光発電所規制
西日本豪雨で太陽光発電所が崩落し、新幹線が運休したことを受け、神戸市は太陽光発電所の設置規制に動く。だが、発電所と土砂災害の因果関係は未確認のままだ。
崩落した太陽光発電所は太陽光パネル出力23kWの地上設置型だった。神戸市須磨区の山陽新幹線沿いの、線路に向かって下る急斜面の上部に位置していた。
気象庁の神戸観測所が24時間雨量200㎜以上を記録した7月5日の夜、太陽光発電所ごと斜面の土砂が崩落していることがJR西(西日本旅客鉄道)の点検で発覚した。線路内に部材や土砂は流入しなかったものの、大事を取ったJR西の判断で山陽新幹線は運航を停止。同夜から翌朝にかけて計9本が運休した。
事態を重く見たのは神戸市だ。久元喜造市長は11日の定例会見で事故に言及し、条例制定も含めた規制を模索すると示唆した。8月22日の会見では、条例の制定を目指す旨を発表し、骨子案も公開。骨子には、一部例外を除く10kW以上の太陽光発電所の届け出義務化のほか、鉄道のような主要交通インフラや住宅地など、特定の場所に隣接した太陽光発電所の建設を規制する方針も掲げる。
久元市長は会見で、太陽光発電に関して、施工や管理の不備、地元との諍い、開発による自然破壊などの問題への懸念があると指摘。そのうえで、「山陽新幹線が運休した一件が条例検討の引き金になった」と明言し、「太陽光パネルが原因となって、新幹線が不通になったことは由々しきことである」とも述べている。