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長野メガソーラー計画が難航

ループ歩み寄るも地元住民が反対

再エネベンチャーのループが長野県内で進めているメガソーラー計画に地元の住民が反対している。ループは理解を求めているが、解決の見通しは立っていない。

ループの計画は、長野県諏訪市内の196.5haの山林のうち、114.5haを切り拓いて、31万枚の太陽光パネルを敷設、パネル出力88.6MWの太陽光発電所を建設するというもの。2019年春に着工し、22年に送電を開始する予定だ。

ループは13年から、長野県内の工事会社の紹介で、諏訪市の上桑原牧野農業協同組合ら3団体の保有する山林の一部で開発事業を行うための交渉を開始。15年には計画を公表し、1月より地元で説明会を始めた。

だが、隣接する茅野市米沢地区の市民が反対した。同地区がメガソーラー建設予定地を流れる川の下流に位置し、大規模な森林伐採による治水や水源保全への悪影響を危惧したためだ。現にこの川は1983年に氾濫し、米沢地区の広い範囲が冠水している。住民の抱く危機感は根深い。2015年10月にループが米沢地区区長会に対して行った説明会では、住民が計画の見直しを要望して深夜まで紛糾。住民は翌11月の説明会でループに県の環境影響評価条例に応じるよう要求した。

この環境影響評価条例とは、環境に大きな影響を及ぼし得る大規模開発事業などを行う事業者に、環境への影響を調査・予測・評価ならびに保全措置を求める制度である。長野県は同条例を1999年に施行し、2015年当時、50ha以上の太陽光発電所開発にも適用するよう条例を改正中だったのだ。ただ施行は16年1月からであり、15年9月に林地開発の協議が受理されていたループは、環境影響評価を行わずに開発を進めることもできた。

それでも、ループの森田卓巳取締役兼IPP事業本部長は、「住民の要求には真摯に応えなければならないと考え、条例に基づいて環境影響評価を行うことにした」と語る。

ループは16年1月に環境影響評価の計画を示す『方法書』を県へ提出、関係自治体でも縦覧に供した。そして方法書に対する県知事、市役所、市民からの意見を踏まえ、同年より環境影響評価を開始した。

しかし、住民との溝は埋まらなかった。16年より米沢地区内の北大塩区長に就任した柴田豊氏は、住民にメガソーラー計画への賛否を問うアンケートを実施したところ、反対93%という結果だったという。これを受けて柴田氏は、17年5月の区会決議で『米沢地区ループソーラー対策協議会』を発足し、会長に就任した。

ループが開発を予定する長野県諏訪市の山林。現在は地権者らが管理している模様だ

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