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中国マーケットに異変!今年は一転、縮小か

中国の太陽光発電市場に異変が生じた。中国政府が年内の太陽光発電所の開発を突然凍結すると発表したのだ。市場が急冷すれば、日本にも影響が及びかねない。

中国における太陽光発電設備の開発を大別すると、政府が主導して行う入札形式の大規模プロジェクトと、発電事業者が政府に申請して開発する分散型プロジェクトとがある。双方とも、事業者による売電が認められているが、後者は自家消費量に応じて事業者が補助金を受け取れる仕組み。昨年は都市部の屋根上設備を中心に利用が拡大した。

しかし5月31日、国家発展改革委員会と財政部、国家エネルギー局は、年内の大規模プロジェクトの開発を凍結すると発表。関係者によれば、政府は6月30日までに連系を終える案件のみ売電を認め、それ以降に連系予定の案件はすべて白紙にする。しかも、期限内に連系した案件に対して、あらかじめ売電単価が決定していたにもかかわらず、そこから一律0.05元/kWh減額するというのだ。

分散型プロジェクトに至っては、5月31日までに連系を終えていない案件は一部の例外を除き年内は連系を認めてもらえなくなった。政府は、今年の分散型案件の開発量に10GWの上限を設けていたようで、すでに連系量が10GWを超過したため、打ち切ったらしい。連系が完了していた10GWの分散型案件に対しても、政府は自家消費の補助金を当初の価格から0.05元引き下げると発表した。

今回の措置に対して、政府はあくまで暫定的だとしたが、あまりに突然の発表に市場は混乱した。

大規模プロジェクト向けの出荷を準備していたメーカーは、6月までに連系できるよう事業者から催促され、生産現場は繁忙を極めているという。拡大する国内市場に当て込んで増産していた機器メーカーは、対策を講じる間もなく、販売先を失い、大量の在庫を抱えている。誰よりも慌てたのは、太陽光発電所を建設し終えたにもかかわらず、5月31日までに連系が完了しなかった事業者だろう。彼らは売電や自家消費による収入が得られないまま、建設費を支払わなければならなくなったのだ。

いずれにせよ、中国市場は縮小する可能性が高い。ある太陽光パネルメーカーの幹部は、「25GWものプロジェクトが水の泡になると聞いている。もともと政府は今年、昨年と同様に53GW程度の開発を予定していたから、市場は半減するだろう」と予測する。

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