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エネルギー基本計画案に見えた太陽光発電の確かな勝算

目指すべきは、蓄電込み10円以下

橘川教授の言う通り、原発の見通しが立たない以上、再エネが担うべき役割は大きい。主力電源を目指し、コスト低減を進めなければならないが、目標を原発以下の発電コスト、つまり30年時点で10円/kWh以下とするならば、さして難しいことではなかろう。

仮に太陽光発電の稼働率を現状の17.1%、耐用年数を20年、20年間の運転維持費をkW10万円、30年時の政策経費を2円/kWhとすれば、設備の設置コストをkW14万円以下に抑えられれば、発電コスト10円/kWh以下は実現するのだ。

太陽光発電が今後、屋根上の自家消費利用に向かえば、土地造成費は不要で、架台のコストは安くなり、系統連系に伴う費用も削減できる。実際、設置コストについて、「20年時点でkW15万円以下は達成できる」と話すものもいるほどだ。30年時の設置コストkW14万円以下は決して高いハードルではない。

仮に30年時の設置コストがkW10万円まで下がり、耐用年数が30年、稼働率が20%へ向上すれば、太陽光発電の発電コストは政策経費を含んでも5.8円/kWhだ。どの電源よりも安くなる。

ただ、見直し案の指摘通り、独立した脱炭素化電源になるためには、蓄電池などと組み合わせたシステムとしてコストを低減していく必要がある。目標は蓄電池と合わせた発電コストで10円/kWh以下だ。達成できた暁には、太陽光発電は間違いなく主力電源になる。

橘川教授は、「今回、再エネを主力電源にするということは、ある意味で政府が再エネ市場は伸びていくと保証したことになる」と話す。エネルギー市場で太陽光発電が主力電源になれるかは、太陽光企業の取り組みにかかっている。

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