米国が太陽電池に輸入制限
国外産セル・パネルに関税30%
中・台メーカー、米国で工場建設へ
この緊急輸入制限を受けて、太陽電池世界最大手の中ジンコソーラーは、米国内に生産工場を建設すると発表。投資額は4億1000万米ドル(約426億円)で、フロリダ州に800人の雇用を創出する予定だ。
台湾トップのパネルメーカー、ユナイテッドリニューアブルエネルギーも、米国での工場建設を検討している。同社は、台湾の太陽電池大手ジンテックと、台ネオソーラーパワー、台ソーラーテックの3社出資で今年中に誕生する新会社だ。
米国の企業は各社異なる動きを見せている。貿易措置に反対してきた米国太陽エネルギー産業協会は、「製造業を含む約2万3000人の米国人の雇用が失われかねない。太陽光発電への投資が遅延し、破綻する懸念もある」と憤る。
米サンパワーは、本社こそ米国だが、セル・パネルは主にフィリピンで生産しているため、今回課税を受けることになった。同社のトム・ワーナーCEOは、輸入制限の決定を「残念」とし、「当社の高効率パネルは安価な結晶系パネルとは異なる。当社のパネルは課税から免除されるべきだ」と主張。同社は今後も課税の免除を要求し、結果が分かるまで計画していた2000万米ドル(21.2億円)の米国内の工場拡大を一時中止するという。
一方、米国の太陽電池メーカー、ソラリアは、カリフォルニア州に太陽電池セル工場を構えており、工場拡張を目的に2300万米ドル(24.4億円)の資金を調達。テキサス州でパネル生産を手掛けるミッションソーラーもパネル生産を強化すると発表した。
米国の十数社の結晶系パネルメーカーは小規模な企業が大半だが、なかには、ソーラーワールド・アメリカズやテスラといった大会社もある。テスラは、ニューヨーク州に年産能力1GWの太陽光パネル工場を建設。17年夏からパナソニックの太陽電池セルを調達してパネル生産を開始した。17年末には建材一体型のセル生産を開始し、米国内でセル・パネルの生産を実現した。
輸入制限措置では、2.5GW分のセルは関税の対象外となるが、これは米国のパネルメーカーが海外からセルを調達できるようにするための措置である。