米国が太陽電池に輸入制限
国外産セル・パネルに関税30%
住宅用太陽光は影響軽微⁉
トランプ政権が課税を決定した後、カリフォルニア州サンディエゴ市で住宅用太陽光発電設備を販売・施工するパロマーソーラーは、「輸入制限によってパネルの値段は上がるが、当社には大きな倉庫がある。現在の価格でパネルを確保できる」とラジオで放送。他の施工業者も、「早く設備の購入を」と商社に宣伝しているが、住宅用パネルにはそれほど影響がなさそうだ。
市場調査の米GTMリサーチによると、太陽光パネルの費用割合が大きい発電事業用の太陽光発電所では、18年は事前の調達がないと供給が厳しくなるが、太陽光パネルの費用割合が比較的低い住宅用太陽光発電は関税の影響をそれほど受けないとしている。
複数業者の見積もりをウェブサイト上で行う米エナジーセイジによると、1年目の関税はWあたり10〜12米セント(10.6〜12.7円)で、平均的な家庭に設置される太陽光発電設備の価格に換算すると3〜5%の値上げ。その後下降し、4年目には関税がWあたり4〜5米セント(4.25〜5.31円)だから、設備価格換算で値上げは2%以下になるとしている。
緊急輸入制限措置は18年2月から4年に亘る計画だが、一部では早めに打ち切られるとの予測もある。02年3月にブッシュ政権が鉄鋼製品に対する輸入制限を発動した際、WTOが米国の緊急輸入制限措を協定違反と認定。ブッシュ大統領は05年3月までの3年の期限を前に03年12月で輸入制限措置を打ち切った経緯があるからだ。
実際、韓国は関税を不服としてWTOに提訴しており、北米自由貿易協定加盟国のメキシコとカナダも同様にWTOに提訴する構えだ。WTOの判断に加え、免税対象技術も不透明なため、まだまだ米国市場の行方から目が離せない。