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検査協会で〝お家騒動〟泥沼化

太陽光発電検査協会の〝お家騒動〟は、事務局員4人の懲戒解雇で収束したかに見えた。だが、新たな事実が浮上し、泥沼化している。通常運営に戻れるのか。

一般社団法人太陽光発電検査協会の内輪もめが明るみになったのは今年8月。協会の事務局長を務めていた河内康浩氏をはじめ、事務局員3人と理事の木村紀隆氏ほか22社の会員企業が、代表理事の竹原直樹氏に解任を要求したのが発端だった。「竹原氏は名義だけの代表理事に過ぎず、職務を放棄した」(河内氏)というのが、解任要求の理由である。

というのも、協会は2013年、京都の工事会社、アクトファクトリーの出資で設立。同社代表取締役の竹原氏が代表理事に就任したのだが、同社のもうひとりの代表取締役、守岡充氏が協会運営を事実上差配していたというのである。

だが、解任要求は通らなかった。そればかりか、解任を求めた理事の木村氏は退任、事務局長の河内氏ほか3人の事務局員には懲戒解雇という最も重い処分が下った。10月21日に協会が会員に送付した『お詫びとご報告』という文章にはこう理由が記されてある。

「事務局員は、①協会の事業に属する業務を独自に行いその報酬を着服、②協会の財産である計測器を勝手に持ち出した、③協会の業務上の秘密を一部の会員に漏洩」。

これが事実であれば、事務局員の懲戒解雇は免れないが、解雇された河内氏は、「不当解雇だ」と、怒りを露わにして、こう続けた。

「守岡氏が2月頃から急に必要な経費の使用を認めなくなったため、予定していた講習会の旅費などを工面できなかった。仕方ないので、事務局員の経費も含めて私がお金を用立てするしかなかった」。

これに対し、守岡氏は、「必要な経費は、請求されれば、基本的には認めた。だが、申請が非常に急だったり、そもそも申請書が経理に回ってきていなかったりした場合もあった。それに河内氏の経費の使い方は不適切なところが多く、だから一部の経費は認めなかった」と憤る。

両者の意見は対立しているが、実際、河内氏はどのような人物だったのか。河内氏をよく知る関係者らは、「協会のために汗を流して働いていた。人望が厚く、会員企業からも慕われていた」と評判は高い。ならば、河内氏は使命感に駆られ、行き過ぎた行為に及んでしまったのか。

河内氏が6月5日と9月1日の2回にわたって会員企業の村岡(鹿児島市、村岡得衛社長)と秘密裏に交わしたとされる覚書が出てきた。内容は、村岡が河内氏個人に新事業の業務を委託し、着手金として100万円と300万円の計400万円を河内氏に支払うというもので、その新事業には「協会主体の事業も含む」とあった。

実はこの覚書、河内氏に疑いを持った守岡氏が、10月12日に河内氏ら事務局員に自宅待機を命じたあと、押収したパソコンや携帯電話の履歴から見つかったものだ。金銭のやり取りの事実など、守岡氏は証拠を押さえたのだ。そして10月25日、事務局員4人に懲戒解雇を言い渡し、11月17日に総会を開催して会員に事情を説明した。

河内氏がこの覚書を交わして400万円を受給していたならば、協会の収入を河内氏が個人で不正に受け取り、着服したことになる。が、河内氏は「覚書をつくり、400万円受け取ったが、覚書に基づいて金銭を得たのではない」と部分的に否定し、「覚書の作成段階で協会の名が入るとまずいので覚書は破棄し、新たに借用書をつくり直して、借用書に基づいて(村岡から)個人的にお金を借りた」という。

ならば、河内氏は着服しておらず、不当解雇ということになるのだろうか。

埼玉県八潮市にあるアクトファクトリーの東京支店。現在太陽光発電検査協会事務局の機能は、ここで代行している

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