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認定遅れ いよいよ深刻

中小販売店が悲鳴

認定の回答遅れがいよいよ深刻だ。経済産業省は7月に人員を増強し、審査を早めているが、回答遅れの影響が尾を引き、地域の施工・販売店が悲鳴を上げている。

「例年通りいけば、毎月60件住宅に太陽光発電設備を販売できたはずだ。だが、今年は4月から7月まで工事が一切できなかった。経産省のせいだ」。

四国の販売店の幹部は怒りを露わにする。無理もない。1棟当たりの売上を150万円とすれば、3.6億円の事業損失になる。財務基盤が脆弱な施工・販売会社にとっては一大事だ。

むろん経産省からの回答を待たずに着工すれば、完成後に代金を請求できる。だが、顧客は売電収入がないなかで融資を返済しなければならなくなる。顧客に配慮する施工・販売店ほど、工事に踏み切れず、売上が立たずに疲弊しているのだ。

新築住宅向け太陽光発電では、設備を設置した住宅オーナーに影響が出始めた。ハウスビルダーや工務店は、太陽光発電設備を搭載したうえで新築住宅をオーナーに引き渡しているが、彼らの本業はあくまでも住宅販売。認定遅れのために住宅の引き渡しを延々と先延ばしにすることなどできないのだろう。

「なかには、経産省の回答を待たずに設備を設置して住宅を売り渡す工務店もある。売電できないままローンの返済が始まった住宅オーナーが増えてきた」(九州の販売・施工店)。

一方、FIT法の改正以前に認定を取得した案件が対象となるみなし認定の回答遅れも深刻な問題だ。

南九州の大手販売店は、既存顧客のみなし認定移行手続きを代行するため、1000件以上の顧客とやりとりしたところ、往復の郵便代が50万円を超えたという。担当者は「9月上旬で95%以上申請は済んだが、4月から9月まで1円にもならない作業に追われ、本来営業するはずの社員が何もできずにいる」と嘆く。

というのも、基本的にみなし認定の移行手続きは各社無償で行っている。有償で代行すると、行政書士登録が必要になるからであるが、そもそも顧客に追加費用を請求しにくいのだろう。ある販売店の部長は「OB客とのつながりが強固になると期待するしかない」とあきらめ顔だ。

だが、これだけではない。みなし認定が厄介なのは、過去に住宅用太陽光発電設備を設置した施工・販売店が倒産している場合だ。住宅用オーナーのなかにはみなし認定手続きの代行業者がおらず、仮に代行業者を見つけても、書類が紛失し、申請できないものがいる。

こうした事態を考慮し、経産省は、みなし認定手続きの締切りを1ヵ月後に控えた8月31日、10kW未満の設備に限り、締切りを12月末まで延長した。だが100万を超える住宅用オーナーの手続きを無事期限内に完了できるのだろうか。

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