滋賀・大津市、太陽光発電所建設の規制強化へ
条例制定に向け意見聴取開始
地方自治体が太陽光発電所の建設に規制をかけ始めているなか、大津市は許可制度の導入を検討、条例制定に向け7月に意見聴取会を開いた。(本誌:中馬成美)
7月5日、5回目となる太陽光発電所建設への規制に関する意見聴取会が大津市役所で行われた。大津市は条例化に向け、2016年7月19日に意見聴取会を設置。今年11月の条例制定を目指し、18年4月には施行する構えだ。
素案によると、規制の対象は野立ての太陽光発電設備。許可申請制度を設け、発電事業者には事前協議書の提出と周辺住民に対する事前周知を義務化する。
具体的には、規制対象を、①面積1000㎡以上、②出力50kW以上、③高さ13m以上、④追尾式太陽光発電設備、⑤市が定める『抑制区域』へ設置する太陽光発電設備とした。
抑制区域とは、土砂災害特別警戒区域や急傾斜地崩壊危険区域などを指し、抑制区域では、周辺住民が意見書を提出すれば発電事業者と協議することができる。
比叡山・坂本地区、近江大津京跡地区など合わせて505.7haの歴史的風土特別保存地区は『禁止区域』となり、太陽光発電所を設置することができない。
このほか、民家に隣接して設置する場合は、植栽やフェンスで目隠しなどを設置するよう義務付ける。さらに眺望景観保全地域に高さ13m以上または追尾式の太陽光発電を設置する場合は、大津市景観計画ガイドラインに定められている重要眺望点と主要眺望点から景観シミュレーションを行い、景観への影響を検証した後、必要があれば植栽やフェンスで目隠し等をしなければならない。
条例に違反した場合は、市が指導または勧告し、発電事業者が勧告に従わない場合は事業者名を公表することとしている。
意見聴取会では、委員会から「罰則が氏名の公表だけで充分なのか」という意見が出た。事務局側は、「氏名の公表だけではなく、罰金など厳罰化を図る検討も必要と考えている」と回答した。
周辺住民への事前周知や協議に関しては、「同意を得るものではなく、事業の内容について充分な説明を行うためのもの」としながらも、「住民に対して、より丁寧な対応をするよう内容を改める検討をしている。今後規制内容が変わる可能性もある」と示唆し、要綱やガイドラインにおいて詳細を記載するとした。要綱またはガイドライン等は、素案を作成し今年11月末と来年2月中旬に開かれる意見聴取会後、制定する模様だ。