営農用太陽光に業界団体が混在する理由
普及に欠かせない任意団体の支援
先日、千葉県匝瑳市では、市民エネルギーちばや千葉エコ・エネルギーらが共同でMW級の営農用発電所を建設した。ここ最近は営農型の実績も増えているが、4年前の導入当初はとてもこのような状況ではなかった。営農用太陽光発電は、13年7月に農地法の規制が緩和されたことによってスタートしたが、営農の継続を条件に農地の一時転用を認めるという要件が定められた。具体的には、生育する作物の80%以上の収量確保や3年の期限付き転用、1年ごとの収量報告などで、事業を始めるには、市町村の農業委員会の審査を通過しなければならなくなった。
しかし実際は、許認可の基準は各農業委員会で異なり、なかには申請から認可がおりるまでに1年以上かかることも少なくなかった。煩雑な申請手続きやデータの提出などが農家にとって参入障壁となり、普及が進まなかったのである。
そんな業界の状況を打開しようと、収量データの収集や申請にかかる諸手続き、営農型発電設備の特殊な設備設計などを専門的立場から支援する前述の任意団体が立ち上がったのだ。
17年5月時点で、営農用太陽光発電の許認可件数はようやく1000件を超えたが、都道府県別の許可件数を見ると、協会のある千葉県、静岡県は他地域に比べて突出している。各地で立ち上がった任意団体が普及を後押ししたのはいうまでもない。
つまり、営農継続を担保するために課せられる様々な要件を解決し、農家にとって参入しやすい環境をつくるうえで、任意団体は欠かせない。各自治体の農業委員会の方針に沿って事業が行われる以上、地域ごとに任意団体が設立されるのは当然の流れともいえる。