キュートーシステムに訪販停止命令
太陽光発電設備販売のキュートーシステム(福岡市、佐藤峰雄社長)が特定商取引法に違反したとして、消費者庁は3月17日、同社に訪問販売業務の一部を停止するよう命じた。消費生活センターに寄せられた同社に関する相談は238件にのぼっていた。知名度の高い企業だけに業界への影響を懸念する声もある。(本誌・中馬成美)
キュートーシステムは、訪問販売業務で違反行為があったとして、今年3月18日から9月17日までの6ヵ月間、訪問販売業務による「勧誘」、「申し込み受付」、「契約締結」業務を停止するよう消費者庁に命じられた。処分の原因となった営業行為には、太陽光発電設備の販売も含まれている。
消費者庁によると、同社は、「太陽光の工事をすることになったので挨拶周りに来た」といって、訪問販売の目的を告げないまま午後11時を過ぎても太陽光発電の設置について勧誘し続けたほか、電気代が3分の1になると不実を告げ、IHクッキングヒーター専用鍋を販売していたという。
同社の法令違反は「勧誘目的不明示」、「迷惑勧誘」、「商品の性能に関する不実告知」など8項目に及ぶ。消費者庁は、同社に立ち入り調査を実施し、「関与事例に対して法令違反か否かを消費者と事業者双方の提出証拠を基に判断した」と説明。
これに対して、キュートーシステムは3月17日、自社のホームページで「弊社の主張を消費者庁にご理解いただけなかった。今後の対応は早急に弁護士と検討する」とコメント。IH専用鍋については、「根拠のない嘘をついて販売したものではない」と否定し、「消費者庁に対し、法的措置をとることも含めて検討する」と反論した。
一方、消費者庁は、「鍋メーカー、鍋の検査機関、IHクッキングヒーターの製造業者に確認した結果、調理時間の長短による電気代の差はほとんどないことを確認した」とし、キュートーシステムには4月17日までに鍋の購入者に対して電気代が大幅に節約できる事実はない旨を通知し、通知した結果を消費者庁に報告するよう指示している。
消費者庁によると、キュートーシステムが指示処分に従わなかった場合は、「特商法の規定により、事業者及び違反行為者が100万円以下の罰金に処されることもある」としたが、同社が消費者庁に通知の結果を報告したか否かについては、「個別事案になるため答えられない」との回答だった。