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トランプ米新政権誕生で揺れるPV業界

州政策への影響軽微!?

ただ、忘れてならないのは、米国の太陽光発電政策は州政府が影響力を持つこと。カリフォルニア州太陽光発電産業協会のデルチアロ氏は、「ソーラーは今後も継続して成長するはず。ほとんどの市場の原動力は州の政策にあるからだ」と語り、こう力説した。

「(15年にオバマ政権が発表した)クリーンパワー計画に頼ってソーラーを拡大しようとしていた州や、RPS(再エネ・ポートフォリオ基準)法などの再エネ導入拡大策を持たない州には打撃かもしれない。しかし、多くの州ではRPS法が法制化されており、州議会主導で普及を推進している。再エネの未来を論じるならば、連邦政府よりも州知事や衆議院選挙に注意を向けるべきだ」。

デルチアロ氏と同様に、ミンツ氏も州政策の優位性を次のように語った。

「現在、ネットメータリング制度が各州で見直され、大きな問題となっているが、あくまでも州の政策なので連邦政府の影響はほとんどない。中小規模の産業用、住宅用を含む分散型太陽光発電は州のネットメータリング制度に依存しているし、メガソーラーはすでに可決されているITC法の運用によって左右されるため、政権交代による影響は小さいと思われる」。

悲観的なメディアとは対照的に、業界関係者はトランプ新政権の影響を冷静に受け止めている。だが、環境エネルギー政策における連邦政府の方針は無視できない。

太陽光発電業界は再エネに懐疑的なトランプ氏に対し、日々進歩するコスト競争力や米国経済への貢献度を粘り強く訴えていくべきだろう。

(取材・文/モベヤン・ジュンコ 米国在住ジャーナリスト)

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