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量的制御の時代に突入か⁉

FIT価格決定法に入札方式浮上

公平な出力抑制は、経済的な調整を

こうした議論とともに、優先給電のルール見直しも実施された(右上表参照)。この優先給電とは、電気の需給バランスを一致させるために、どの電源を止めて、どの電源を動かすのか。その条件や順番を決めたもの。

また「2〜3年後には現実のものとなる出力抑制」についても、公平な抑制とは何か。出力抑制を一定の順番で行うのがいいのか。あるいは、柔軟な出力制御が可能な大規模発電所に抑制を集中させ、その事業者に対して、後で補償を行う経済的な調整方法がいいのか。議論は細部にまで及ぶ。

全国様々な地域に分散導入される大・中・小の太陽光発電所。「これだけの発電所すべてに同じ時間数の出力制御を行うことは技術的にも、コスト的にも難しい」。

そこで浮上したのが、経済的な調整を行う抑制方法だったが、買取り価格も違えば、場所によって日射量が違い、発電量も異なるうえ、30日制御枠と360時間制御という新旧ルールも混在する。

複雑化する遺失電力量の算定が果たして可能なのか。また混在するルールのなかで共通化を図れる制度設計は可能なのか。具体論に関する議論は持ち越しとなったが、実運用に耐えうる制御は、「経済的な調整方法」。この意見でほぼ一致を見た。

この出力抑制に絡んだ議論でもう一つ。買取り義務者が送配電事業者となり、買い取ったFIT電気を卸市場に供出した場合、売値がゼロ円でも約定しなかったらどうすべきか。

九電管内などでは、昼間の需要を超える電気が、太陽光からつくられ、卸市場に流れる事態も想定される。このゼロ円と値付けされ、売買が成立しないFIT電気は、出力抑制の対象にしよう、という議論である。

「出力抑制の発動が予想されるような場合、卸価格は相当、低くなっているはず。自然な価格メカニズムが機能する卸市場であれば、ゼロ円売買を出力抑制と見なすのは極めて自然」。委員の意見はほぼ固まった。

微に入り細にわたるFIT改革論争。詳細がまとまるのは年内だが、買取り義務者は送配電ネットワークに、系統接続後に設備認定を付与する新FIT認定などは、規定路線化しつつある。

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