自社プロ開発が本命に⁉
ダウンストリームに躍起の太陽電池メーカー
稼働済み太陽光発電所が600MW超え、建設案件は約400MW、水面下で進めるプロジェクト案件はなんと3000MW超──。
この数字、中国太陽電池大手の一角、ジンコソーラーが中国国内で進める自社プロジェクト推移をまとめたもの。低価格を武器に世界中で太陽電池を売りまくってきた中国勢だったが、先細る欧州市場や米国で厳格化されるアンチダンピング政策を受け、1〜2年前より戦略を一気に転換。より下流へとシフトし、自社発電所の開発に特化し始めた。
一方、自国の中国もPM2.5による健康被害やCO2増加に頭を悩まし、中央・省政府の意向もあってか、太陽光発電所開発がバブルの様相を見せ、世界一の導入国となっている。14年には10GWが建設され、15年の導入量は15GWとも予想されている。
2015年の第1四半期決算を見ても、クォーター(3ヶ月間)で初めて出荷量が1000MWを超えたトリナ・ソーラーも、そのうち134MWが自社プロ向け。太陽電池をただ売るだけではなく、自ら製造したモジュールを使って、太陽光発電所を建設、発電事業で得られる安定収益を手に入れる。何なら発電所を転売しその売却益も狙うという、下流への戦略シフトによって、中国大手の財務改善状況は目覚しい。
実際、GWプロジェクトを抱えるジンコソーラーでは太陽光発電所の設計・調達・建設というEPC部門を持つ。さらにO&M(発電所の維持・管理)まで自社内に取り込み、太陽電池の製造から建設、O&Mまですべて一体化させている。
ジンコソーラーの李宣徳董事長は、「発電規模や地域が拡大しており、これはO&Mへの挑戦でもある」と語るが、気象条件が違う様々なサイトで発電所を建設、運営してきた自社ノウハウを他社に売り込みたい考え。
「ローカル企業と組んでEPCの海外展開を目指すし、他社の発電所であってもO&Mは受注できる」と李董事長は自信を見せる。もちろん、EPC、O&Mメーカーとして、日本での展開も虎視眈々と狙っている。