群馬北部で連系難航
300MW足止めか 東電、解決目途立たず
群馬県北部で太陽光発電所が系統に接続できない事態が発生し、業界に波紋を広げている。接続申請量が送電線の受け入れ可能量を超え、増強工事が必要になったが、その費用が19億円かかり、しかも一時的とはいえ最初に申請した事業者が全額負担しなければならないというのだ。東京電力も事態の収束に動く構えだが、解決策を打ち出せていない。群馬では300MW規模のプロジェクトが暗礁に乗り上げている。
東電によると、問題の送電線は154kVの上越幹線。一部に送電容量の小さい旧式の銅電線区間があり、張り替え工事を実施しなければ、太陽光発電を接続できないという。
対象エリアは、吾妻郡東吾妻町、中之条町、高山村、利根郡全域、沼田市全域、渋川市全域、前橋市北部、高崎市北西部で、群馬県の約3分の1を占める北部エリアだ。
東電は、「工事に最低3年間はかかる。その費用は、一部分の工事だけでも数十億円。すべて張り替えると莫大な費用になる」とし、「我々もできるだけ受け入れたいという思いで対応しているが、工事費用や工期、さらに張り替え工事によって受け入れ可能量がどれほど増えるか、といったことを考慮しながら対策を練っている」という。
東電はいくつかのプランを検討しているようだが、群馬のプロジェクトに詳しいある発電事業者はこう証言する。
「群馬の案件を持つある業者は、事前検討で承諾を得ていたのに、本申請で突然、14㎞に及ぶ幹線の張り替えに19億円かかるといわれたらしい。この工事で74MW相当の発電所が新たに連系でき、事業者同士でその費用を分担するそうだが、1MWあたり2500万円の追加費用は高い気もするが」。
問題はこの費用負担のルールだ。託送供給約款では、工事後3年以内に同じ系統に接続した事業者同士で、この費用負担を按分することになっているが、最初に接続した事業者が一旦すべての費用を負担しなければならない。後で接続した事業者から負担金が還元されるといっても保証はないため、最初に全額負担する事業者のリスクは大きい。
経済産業省資源エネルギー庁は、「誰も最初のひとりになりたくないということ。全員で割り勘できることが保証されていればよいが。事後精算スタイルなのでリスクがあるということは認識している。東電と協議しながら最適な方法を検討していく」という。
群馬のケースは、九州電力管内でも発生しており、今後全国に広がる可能性もある。