脱炭素電源競売で蓄電池1GW強落札
落札価格は kW2万円台か
オフテイクでPF組成
今回のオークションで蓄電所の開発が加速しそうだが、同時期に安定収入が得られる民間主導の仕組みが始まった。オフテイク契約と呼ばれるもので、蓄電所の所有者がアグリゲータなどと運用権に関する長期契約を交わし、収入を安定化させるというものだ。
英・エクーエナジーの日本法人、日本蓄電は24年4月24日、宮崎県内に建設する出力30MW、蓄電容量12万kWhの蓄電所で東京ガスと20年のオフテイク契約を締結、三菱UFJ銀行のプロジェクトファイナンスを組成したと発表した。
エクーエナジーは、金融大手の豪・マッコーリーグループから分社化された蓄電事業専業会社だ。蓄電所の開発や投資、運営を担い、英国や豪州で開発実績を持つ。日本にも進出し、今回の宮崎県の『広原蓄電所』が初の開発案件となった。
日本蓄電の小野健太郎代表は、「日本は再エネの導入に前向きでエネルギー使用量が多い。島国なので再エネの調整力となる蓄電池の需要拡大が期待できる。英国や豪州との共通点が多く、数年前から参入する準備を進めていた」と話す。
もっとも、同社は豪州・クランボーンで開発する蓄電所で23年にシェルエナジーとオフテイク契約を締結していた。海外での経験も活かし、日本でオフテイク契約を実現したようだ。小野代表は、「(オフテイク契約は)日本では新しい試みだが、資金調達も含めて進めることができた。これが日本での蓄電所の普及拡大に繋がれば」とも語る。
長期脱炭素電源オークションやオフテイク契約といった事業者の収入を安定化する仕組みが登場した。いよいよ系統用蓄電所の普及期が到来しそうだ。