再エネ抑制量19億kWh超え
前年度比3.3倍増
再エネの出力抑制量が急増している。2023年度は前年度比3.3倍の19億kWhを超えた。24年度はさらに増えそうだ。(本誌・土屋賢太)
東京電力管内を除く9電力管内で再生可能エネルギー電源の出力が抑制されている。2023年度の出力抑制量は、北海道電力管内を除く8電力管内で増加し、9電力管内全体で前年度比3.3倍の19億kWhに達した。再エネ電力1kWhの価値を10円とすれば、実に190億円に及ぶ経済損失である。
特に、出力抑制量が多いのは九州電力管内だ。23年度の出力抑制量は前年度比2.9倍の13億kWhに達しており、九電管内で太陽光発電所を運営するある再エネ会社の幹部は、「出力抑制による逸失損額が23年度は10億円に及んだ」と嘆く。
九電管内に加え、四国電力管内や中国電力管内でも出力抑制量は増えている。23年度は3電力管内で前年度比3.3倍の17億kWhに達し、全体の9割を占めた。
出力抑制は、電力需要が少ない春や秋の日中に太陽光発電由来の電力が電力系統に多く流れ、需要と供給のバランスが崩れかねない時に実施される。経済産業省によると、太陽光発電所が増えたことに加え、23年春や10月は例年より晴天日が多かったため、出力抑制量が増えたとしている。
一方、再エネの出力抑制に詳しい京都大学大学院経済学研究科の諸富徹教授は、「関西電力管内で原子力発電所が再稼働したことも、出力抑制が増えた要因のひとつだ」と指摘する。