波紋呼ぶ!3本バスバー騒動の真相
特許侵害は回避できる!?
では、他社の反応はどうか。果たして、先述のすべてのメーカーが、京セラの特許を侵害することになるのだろうか。
シャープ広報部は、「当社の製品は、京セラさんと裏面構造が異なるので、京セラさんの特許に抵触しないと考えている」としている。パナソニック広報部も、「弊社の技術と、京セラさんが登録された3本バスバーの特許とは関係がない。当社に対しては、(京セラさんから)警告文が届くといったようなことはない」という。
Qセルズジャパン営業部は、「今のところ、京セラさんから注意を受けてはいない」とし、「仮に警告があったとしても、当社は今後、新しい形状のバスバーを設置したセルを製品化していくので、問題にはならないと考えている」としている。
また、大手太陽電池メーカーに在籍していた、ある技術者はこう指摘する。
「京セラさんの特許の侵害は、裏面電極の形状を変えれば回避できる。京セラさんの特許を見ると、裏面電極はライン状に配置されている。これをライン状ではなく、分割して配置すれば抵触しない」。
一方、3本バスバー騒動は、他社にも責任があるという意見もある。「京セラさんが3本バスバーの技術で特許を申請していたことは、多くの関係者が把握していたはず。京セラさんの出願内容に問題があったのであれば、登録されるまでに異議申し立てすればよかった」(太陽電池材料メーカー筋)。
特許登録の流れは、出願後、書類のチェックが行なわれ、1年6ヶ月後に出願内容が公開される。この時点ではまだ登録されない。出願者に登録する意志があれば、約1年10ヶ月に及ぶ審査があり、その結果、申請案件の一部が登録される。
京セラが3本バスバーの技術を出願したのが04年6月10日だから、公開されたのは06年年初あたりだ。つまり、公開されてから登録されるまでに6年の期間があった。出願内容が不服ならば、情報提供という形で特許庁に意見を伝えることはできた。もちろん、その訴えが通るかどうかは、特許庁の判断となるが。
しかし、いずれにせよ、今からでも異議申し立ては可能だ。「登録された特許に意義があれば、誰でも無効審判を行なえる。これによって、登録が抹消されることもある」(特許庁)。