〝北電ショック〟の真相
太陽光の接続可能量、泊原発再稼動を前提に試算
抜本策は送電網の増強
いずれにせよ〝北電ショック〟の問題解決に向け早期の対策がいる。そこで経産省は30日ルールの撤廃と大型蓄電池の設置を進めている。
30日ルールとは、出力500kW以上の太陽光発電所を所有する事業者に対し、電力会社が年30日以内であれば出力抑制を依頼できるというもの。ただし年30日を超える場合は、事業者側に抑制した発電量を金銭で補償しなければならない。
このルールは、発電事業者の売電を保護する役割も果たしているが、同時に下げ代による太陽光発電の導入制限も生み出した。つまり、30日ルールの策定によって、30日以内の太陽光発電の出力抑制を行なっても下げ代問題をクリアできなければ、電力会社は接続拒否できることになった。現状の北海道がまさにこの状況である。
そこで経産省は、接続可能量が限界に近づきつつある特定地域に限り、30日ルールを廃止する方針を固めた。このルール改正によって、事実上、下げ代問題による太陽光発電の導入制限は存在しないことになる。
ただ30日ルールがなくなれば、事業者は30日以上の出力抑制に応じなければならず、ファイナンスの組成が厳しくなる。このため経産省は、電力会社が太陽光発電の出力抑制を依頼する場合は、その根拠となるデータをすべて開示しなければならないことを義務付け、発電事業者や金融機関が投資判断できる状況をつくる予定だ。
一方、LFCによる調整限界をクリアするための対策は、太陽光発電の供給変動を平準化する大型蓄電池の導入である。経産省は12年度予算の予備費296億円のうち約200億円を拠出して、北電管内の変電所に蓄電容量6万kWh規模の大型蓄電池を設置する。
だが、これらも最終的な対策とはいえない。北電に関しては北本連系(北海道・本州間連系)の増強が不可欠だ。そして我が国の太陽光発電の普及拡大には、やはり全国的な送電網の整備が欠かせない。これらに約10兆円の巨費と10年に亘る工期を要するといわれているが、火力発電の燃料費高騰で年間3兆円のエネルギーコストがかかることを鑑みれば、費用対効果は充分見込める。早期の抜本策が必要だ。