〝北電ショック〟の真相
太陽光の接続可能量、泊原発再稼動を前提に試算
泊原発再稼動を想定
では、出力500kW以上の太陽光発電に対して700MWを超えた場合に出力抑制ルールの変更を適用し、2MW以上の太陽光発電の導入限界量の目安を400MW程度としたこれらの数値は、どのように導き出されたのか。
700MWは下げ代問題、400MWはLFCによる供給調整の限界によるものであるが、いずれも泊原発1号機から3号機まですべて再稼動させた場合を想定して算出されている。
北電管内の発電所の供給力は、稼動停止中の泊原発も含めると約7549MWになる。電源構成は、火力発電が4214MW、原子力発電が2070MW、水力発電が1239MW、地熱発電と太陽光発電が約26MWである。
一方、北海道の電力需要は、過去最大を記録した11年1月12日のピーク時で5790MW。最も低い時で3000MW程度だ。
出力500kW以上の太陽光発電の接続可能量700MWは、電力需要の最も低い3000MWの時の下げ代を考慮して算出されたが、まず泊原発の稼動分が確保されている。3000MWのうち、泊原発稼動分の約2000MWを差し引き、残りの約1000MWで、調整電源の稼働率が30%を下回らない範囲内での太陽光発電として700MWが割り当てられた。
出力2MW以上の太陽光発電の接続可能量400MWも、同様に泊原発稼動分の2000MWが確保され、1000MWのうちLFCによる調整力の限界を考慮して決められている。
これらの決定は、政治的判断に委ねられる領域を含むため、その是非は問えない。が、北電は少なくともこの事実を公表すべきではないだろうか。仮に泊原発再稼動という選択肢がなければ、北電管内の1.1GWに及ぶ太陽光発電プロジェクトはすべて接続できたかもしれないのだから。