新型コロナで材調達に支障
浮上する完工期限超過の懸念
部材調達に苦慮
中国政府は、感染拡大を防ぐため、空港や鉄道駅、道路を相次ぎ封鎖し、春節休暇を2月2日まで延長。地方によっては2月2日以降も企業に営業活動の自粛を要請した。このため、中国の物流は滞り、製造業は軒並み生産縮小に追い込まれ、太陽光関連企業も打撃を受けた。言うまでもなく、太陽光パネルからPCS(パワーコンディショナ)や架台まで、主要設備の大半は中国で生産されているからだ。
厦門の工場に製造委託をしているある架台メーカーの社長は、「春節休みが伸び、帰省していた出稼ぎ工員が仕事に復帰できず、しばらく工場の稼働率が戻らなかった。1ヵ月半から2ヵ月間全く納品できず、1億円弱の減収だ」と嘆き、「中国の物流会社は単価の高い半導体関連製品などの輸送を優先し、太陽光パネルや架台は後回しにしている」と続ける。
中国大手太陽光パネルメーカー、ライセンエネルギーのディリア・ディ日本法人副社長は、「各地の交通網が遮断されたため、バックシートやガラスの調達が遅れ、生産に支障をきたした」とし、「通常は1ヵ月で製品を供給しているが、いまは4ヵ月程かかると顧客に説明している」と語る。
他にも、国内PCS大手の田淵電機や新電元工業は、ハーネスなどの部材を中国から調達しており、一部入手が困難な部品があるという。3月中旬時点で、まだ代替品の調達に目途がついていない部品もあるようだ。
一方で、品質管理が行き届かない懸念もある。日本人が中国へ渡航する際、ビザなしの滞在期間は15日間だが、現在日中両国は互いの国からの入国者を2週間隔離している。つまりビザがなければ事実上中国には1日しか滞在できないのだ。それだけに先の架台メーカー社長は、「本来は対面で打ち合わせして現地で製品の状態を確認したいが、しばらくは難しい」と諦め顔だ。