新型コロナで材調達に支障
浮上する完工期限超過の懸念
期限超過で損失発生か
部材の生産に支障があれば、当然EPC(設計・調達・建設)にも影響が及ぶ。「製品を調達できず、工事が遅れ、顧客への弁明に走り回っている」(東北の販売・施工会社社長)といった嘆き節や、「住民説明会を予定していたが開催できず、着工に移れない」(EPC筋)といった声が聞こえてくる。
問題は、今年3月末に運転開始期限を迎える案件が完工できない事態に陥ることだろう。FIT法の改正によって、発電事業者は事業計画認定を取得後、一定の期日までに運転を開始しなければならず、その最初の期限が3月末なのだ。
運開期限が3月末の案件は、16年度までに設備認定を受け、接続契約の締結が同年8月1日以降だった10kW以上のすべての案件と、14年度中に設備認定を取得し、16年7月以前に接続契約を締結したうえで、19年3月までに系統連系工事着工申込みを済ませている2MW未満の案件である。
太陽光発電事業者連盟の専務理事を務める千葉エコ・エネルギーの馬上丈司社長は、「期限に間に合わない案件が少なくないだろう。すでに3月中の完工を諦めた事業者もいるようだ」と話す。
むろん、運開期限を過ぎても、売電期間が1ヵ月単位で短縮される形になり、事業計画認定そのものが失効されるわけではない。仮に完工が期限より1日遅れれば、発電事業者は1ヵ月分の売電収入を失うことになる。それを誰が負担するのか。大手企業のように資金に余力があればよいが、中小企業にとっては大きな痛手となる可能性がある。
太陽光発電事業者連盟は、経産省に運開期限の延長を求めているが、いまのところ経産省は救済措置を講じていないようだ。
ともあれメーカーの生産体制は平時に戻りつつある。もうしばらくの辛抱だ。