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ネミー、YOCASOLの事業譲受

モジュール製造へ進出 6月出荷へ

12月末から譲受検討

YOCASOLの前身は当時国内モジュールメーカーだったMSKの福岡工場。06年、中国太陽電池大手サンテックパワーによるMSKの買収に伴い、閉鎖を告げられた福岡工場の従業員らによるEBO(従業員の企業買収)で07年7月に設立された経緯がある。

YOCASOLは創業後、モジュールの受注生産を強みに欧州で販路を拡大。丸紅経由で独ボッシュや台湾モテックなどからセルを調達し、厚いカバーガラスを使用した高強度モジュールも独自に製品化してきた。

だが、08年末から金融危機、スペインショックの影響で販売は低迷、在庫処理に追われた。09年半ばにはドイツ向けの出荷が上昇し、年産60MWの工場がフル稼働になる時期もあった。それでも10年以降は円高・ユーロ安の逆風と相俟って中国勢との価格競争に敗れ財務は悪化。販売を国内にシフトするなど対策を講じたが改善されなかった。

12年11月末に約25億円の負債を抱え民事再生法の適用を申請。だがスポンサー探しに難航し、2月初めには事業継続を断念、破産手続きに移行していた。

ネミーは、1966年創業の空調・産業機器架台メーカー。12年7月期のグループ売上高は約30億円。今期は60億円を見込んでいる。

架台製造で太陽光発電分野に参入し、09年には中国産モジュールなどを調達し、独自の住宅用太陽光発電システムの販売に着手。同年11月には、システムインテグレーションを手掛けるネミーエネルギーソリューションズ(NES)を立ち上げるなど、積極的に事業拡大を図ってきた。

根上社長は譲受に至るまでの経緯をこう振り返る。

「(YOCASOLが)民事再生法の適用を申請する前から、経営悪化の噂は聞いていた。何らかの形で連携できないか、デューデリジェンスを進めていた。日本のお家芸だった太陽電池を強くしたい。同じ業界の会社として何かお手伝いできないかという思いがあった」。

ネミーは、YOCASOLの民事再生の申請後、12月後半から年明けにかけて保全管理人弁護士と接触、事業資産の譲受へ向け動いていた。

「今モジュールメーカーの過当競争は激化しており、事業環境は厳しい。モジュール事業の収益確保の実現には想定以上の時間がかかるかもしれない。それでもランニングコストの低減の可能性も含めて投資回収の見込みがあるからこそ譲受した。何よりも有能な人材がいる。生産工程や部材調達を改善し、旧YOCASOLを変身させ、当グループとのシナジー効果も生み出していく」(根上社長)。

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