中国の威信を賭けた6大6小救済策を探る
上場廃止リスクの後退、その兆候なのか。12月を境に、NYSE(ニューヨーク証券取引所)やナスダックに上場する中国銘柄が株の値動きを反転させ始めたのだ。
なかでも上場廃止勧告を受けたダコ・ニューエナジー、サンテックパワー、JAソーラー、LDKの4社は一進一退の攻防が続くとはいえ、1ドルの壁を突破しつつある。
株価の上昇、その背景にあるのが10月末に正式決定された中国政府による6大6小救済シナリオだろう。生き残りを賭けた6大6小とは。その政策実態を探る。
企業破綻が地方政府も揺るがす
10月末、中国の中央・地方政府は、供給過剰で経営危機に瀕した太陽電池メーカーの支援に乗り出すことを正式決定した。
救済シナリオの作成から遡ること数ヶ月まえには、次々とNYSEなどから上場廃止リスクの警告を受けてきた中国勢たち。通告理由はいずれも同じだ。30営業日連続で平均株価が1ドルを下回ったため、上場廃止基準のひとつ、30日ルールに抵触したためだった。
さらに時間軸を7月にまで巻き戻せば、LDKでは江西省新余市に対し、8000万ドルにものぼる債務の返済資金支援を要請。「事実上の経営破綻」(市場関係者)へと陥る。
中国の産業形成にとって、太陽電池は民間主導で成長してきた数少ない事例だ。だがその実態は「地方政府の支援を受けた地方政府系の企業」だという。ただ当の企業家たちには供給過剰を繰り返し、値崩れを引き起こしたあげくの経営危機。欧州や中国の販売先からの回収遅れによる資金難。欧米との間で勃発したアンチダンピングによる閉塞感など想像を絶する経営環境が待ち構えている。
実際、「9月から急激な生産調整を推し進め、大手でも稼働率が60%へ、中小ならば20%稼働だった」(原料メーカー)状況が、10月までの2ヶ月間続いたという。
もしこの状態を見過ごせば、いずれはドミノ倒しのように大型破綻が相次ぐだろう。となれば地方政府だって無傷ではいられない。連続倒産は地方政府の基盤さえ揺るがしかねない可能性すらあるわけだ。
そこで描かれたシナリオが6大6小救済政策だった。6大6小とは企業規模によって大手、中小2つから救済企業を選別したもの。6大にはサンテックパワー、LDK、トリナソーラー、インリー・グリーン・エナジー、JAソーラー、GCLポリエナジーグループである中能太陽能がその名を連ねる。
一方、6小とはカナディアン・ソーラー、ジンコソーラー、チャイナサナジー、ソーラーギガ・エナジー、ハレオンソーラー、ダコ・ニューエナジーを指す。この企業選定についてはすでに様々な憶測が流れている。「選定条件のひとつが経営陣の交代」に始まり、「経営者の個人資産の公開義務」、あるいは「生産能力が500MW未満で、かつ生産量が300MWにとどかなかった企業は淘汰される」といったものまで幅広い。