25年度制度設計が本格化
需給近接型など支援強化へ
長期運用の新制度案公表
経産省は24年5月に太陽光発電所の長期運用の実現に向けた行動計画案を公表し、『長期安定適格太陽光発電事業者』を認定する仕組みを創設する考えを示していたが、10月22日の『再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会』では、その具体的な概要案を公開した。
案によれば、適格事業者の認定要件には、①地域の信頼を得られる責任のある主体であること、②長期安定的な事業の実施が見込まれること、③FIT・FIPによらない事業実施が可能であることの3点を設定する。その一方で、過去2年以内にFIT・FIP認定の取消し実績があると適格事業者に認定しない方向で、厳格なガバナンス(企業統治)体制を確認するために自治体の一定の関与があることや上場企業であることも評価する方針だ。
③については、17年度以降のFIT・FIP認定事業または非FIT事業で50MW以上の稼働実績を持つことを要件化する案を提示した。経産省は「将来的に数十者の適格事業者を認定することを想定」しているが、25年春の開始予定時点では全要件を満たせる事業者は限られそうだ。
もっとも、経産省は適格事業者に対していくつかのインセンティブを与える模様だ。50kW以上のFIT・FIP太陽光発電所の変更認定時にポスティング等説明会以外の手法での事前周知を認めるほか、1人の電気主任技術者が複数の事業場を管理できる統括制度の利用や太陽光パネルの増設時における廃棄等費用の一括積立ての適用外も許可する。さらに定期報告で確認した発電所の売却希望者情報の先行公開も行うという。
FIT開始以降、個人でも所有できる低圧太陽光発電所が急拡大し、安定的な長期稼働の実現が重要な課題と認識されてきた。この認定制度は、それらを大手事業者に集約することで、運用の効率化とともに長期安定稼働の担保を狙ったものだ。とはいえ、実際に利用されなければ意味がない。いかに実効性を持たせられるかが成否の鍵を握りそうだ。