ドイツ環境省、PV引き締めに本腰
異例のFIT大改造計画を公表 国民負担3倍増に配慮
賦課金、09年の3.2倍に
ドイツ政府が、今回、異例のタリフ改正の実施に動いたのは、やはり国民負担の増大が大きい。
ドイツのPVの単年度導入量は、09年が3.8GWだったのに対し、10年が7.4GW、11年は7.5GWと急増した。09年末までの累積導入量が約10GWだったから、僅か2年でその1.5倍ものPVが設置されたことになる。FITとは、買取りによって発生した費用を、薄く広く電気料金に上乗せして国民が負担するという仕組み。つまり、PVの導入が想定以上に伸びたことで、電気料金に上乗せする賦課金がこの2年間で急上昇したのである。
ドイツの賦課金は、09年1.13ユーロセント/kW・hだったものが、12年には3.59ユーロセント/kW・hと、実に3倍以上に跳ね上がった。これを円換算し、一般家庭の月間電力消費量を300kW・hとすると、月額1163円、年間約1万4千円の負担となる。これだけ負担が増えると、再生可能エネルギーの普及拡大という大義名分があっても、負担軽減を求める声は増えるだろう。実際には、電力多消費型産業からの反発が強かったようだ。
いずれにせよ、この改正案は連邦議会の審議を経なければ正式に確定しない。実際に改正案を巡っては賛否両論、意見が割れている。改正案の反対派は、PV業界関係者だけでなく、一般消費者にも多い。特に、福島原発事故を受けて、ドイツの世論は再生可能エネルギーの推進に向いている。今回の改正案が棚上げされる可能性もないわけではない。