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原子力機構、ウラン蓄電池開発

日本原子力研究開発機構はこのほど、ウランを用いた蓄電池を開発したと発表した。(本誌・土屋賢太)

蓄電池の開発が熱を帯びるなか、JAEA(日本原子力研究開発機構)は2025年3月、ウランを活物質に使うウラン蓄電池を開発したと発表した。実用化に向けて大容量化や性能向上の研究開発を進めていく。

ウラン蓄電池では、活物質として負極にウランを、正極には鉄を使い、電解液には有機溶媒とイオン液体を混合したものを使用する。構成された蓄電池は、レドックスフロー蓄電池で、酸化還元反応を用いて充放電する仕組みだ。

これまでウラン蓄電池は、理論的な概念こそあったものの、実際に製造された事例はなかった。ただ原子力発電の燃料のウランを濃縮する過程で副産物の劣化ウランが発生し、用途がないために劣化ウランが国内に約1.6万t貯蔵されているという課題もある。そこで今回、劣化ウランの有効利用も見据えてウラン蓄電池の開発が進められたのだ。

もっとも、今回のウラン蓄電には劣化ウランではなく、同様の化学的な性質を持つ天然ウランが使用されたが、劣化ウランでも代用できるようだ。

ウラン蓄電池の概要図。負極にウラン、正極には鉄が使用される

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