〝施工〟〝メンテ〟の基準統一化へ 公益2団体が掲げる品質理念
エコシフト、テュフと施工認証実施 保全基準の策定に動くPVCA
成長著しい国内のPV(太陽光発電)市場であるが、製品や施工のトラブルも増えており、品質向上を図る第3者機関の役割が重要性を帯びている。特に販売施工やSI(システムインテグレーション)などの分野は参入業者が多く、業界団体の自助努力も必要だ。この状況下、「施工」、「メンテナンス」の基準策定に動く公益2法人が関心を呼んでいる。ひとつがエコシフト技術工事協同組合(東京都港区)、そして11年9月に設立された太陽光発電保全協会(東京都千代田区、=PVCA)。両団体の取り組みに迫った。
エコシフト技術工事協同組合は、まさに施工職人の集まりだ。「誰かが上に立つのではなく、全員横並びの組合形式をとっている」(関口渉代表理事)。
同組合は、テュフラインランドと共同で施工に関する認証を発行している。これは組合による施工基準テストに合格し、テュフラインランドでの2日間の学習及び試験に合格すると、「エコシフト・テュフラインランド住宅用太陽光発電施工士PID」を取得できるというもの。関口代表理事は「これまで第3者による客観的な施工認定はなかった。この認証は竣工検査も行う。施工もコモディティー化が進む中、差別化の一つとして第3者認証は重要だ」と意義を語る。
また、同組合が設立母体となった太陽光発電工事専門校では、産業用講座としてシステムインテグレート講座、さらには将来のスマートコミュニティを見越したカリキュラムも策定中だ。現在、埼玉県川口市と大阪府茨木市の2校で、約200名の受講者が卒業している。
11年は3月から7月まで東日本大震災の被災地へ東芝製PVシステムと蓄電池を無償提供した。組合員が宮城県、岩手県、福島県の避難所や道の駅など17か所に、発電容量にして計63kW分のPVシステムの施工を行った。4月末には茨城県行方市役所麻生庁舎に3.5kWのソリンドラ製モジュールを設置するなど積極的に寄付活動を行っている。
さらに、『かながわソーラーバンク』では、エジソンパワー、丸紅とともに参画し、施工を担う。PIDを取得した組合員が施工を行い、組合が竣工検査を行う予定である。
産業用元年と呼ばれる12年。同組合には米EPC(設計・調達・建設)企業サンエジソンジャパンが会員に名を連ねるなど海外での大型案件の経験も有し、大規模発電所のEPCや運営・管理を行うことも可能としている。
関口代表理事は、「事業終了後のモジュールのリサイクルやリユースの流れが必要」と、東南アジアの無電化地域などにリユースモジュールの設置実証を行う予定だ。また、「組合としてEPCから再利用までフォローしていきたい」と語る。