[特別対談第29回]
進歩するパネル診断
ヤマシタ電気 山下幸司社長 ✕ ESI 土肥宏吉社長
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥社長による特別対談。今回は、ドローンで太陽光パネルをEL検査するヤマシタ電気の山下社長に、その斬新な手法について話を聞いた。
土肥氏●赤外線サーモグラフィカメラを内蔵したドローン(無人航空機)で上空から太陽光発電所を撮影し、太陽光パネルのホットスポットの有無を調べる手法はすでにあります。そんななか、貴社が同様の手法でEL(エレクトロルミネセンス)検査を実施されるという話を聞き、とてもユニークで、非常に興味深く思いました。まずは概要を説明してもらえますでしょうか。
山下氏●そもそも、EL検査とは、太陽電池セル内の状態を撮影し、セルのクラック(亀裂)など、発電が低下し得る問題を探る精密検査のことです。暗室でパネルに特殊な電力を流すと、電気が流れている部分は発光し、流れていない部分は暗くなるので、この特性を活かして、光の濃淡からセルの状態を分析します。
I‒Vカーブ測定やサーモグラフィカメラでは、何かしら問題が生じているということは分かりますが、それが、パネルの割れなのか、セルのクラックなのか、インターコネクタの断線なのか、PID現象なのか、判別がつきません。これに対し、EL検査は原因まで細かく究明できるのです。
土肥氏●はい。EL検査は通常、研究機関やメーカーの生産工程でしか実施されていません。現場で計測できる機器も複数ありますが、手間も費用もかかるので、I‒Vカーブ測定で問題のパネルをある程度特定し、部分的にEL検査を行うのが現状です。その課題を貴社は打開されようとしていらっしゃるのですね。
山下氏●はい。我々は、トーエネックさんが開発されたELカメラ搭載のドローンを夜間に飛ばして計測します。動画ゆえ、実質4時間で500kW相当、2000枚のパネルを撮影できます。一般のオンサイト型のEL検査は、パネルの結線を外す工程が伴ううえ、静止画撮影だから、パネル100枚に朝から夕方まで8時間程かかるようです。それに比べると大幅に効率が向上したと言えるでしょう。