ESIの自家消費攻略法
自家消費提案はシンプルに 技術交渉は専門知識が必須
販売・施工会社に自家消費用の太陽光発電設備の販売を支援するヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥社長。自家消費提案に苦戦する会社が多いなか、有効な提案法を語った。
自家消費の提案で、まず重要なのは、ファーストコンタクトです。客先の電力使用状況を把握しておかなければ、お客様にメリットを提案できないのですが、お客様と面識がない状態で、データの提示を要求すると、厚かましい印象を与えかねません。
では資料がない状態でどう提案するべきか。実はシンプルな資料は事前に用意できるのです。太陽光発電の販売・施工会社の方々にはこれまで培われた経験があります。グーグルマップなどを利用して、客先の屋根を確認すれば、少なくとも、太陽光パネルの設置可能枚数や建設費は試算できるはずです。最初はそれで充分です。
もちろん、客先の電気代を把握できることに越したことはありませんが、それができるのは、電力小売り会社など一部です。太陽光発電設備の販売・施工に特化されてこられた会社にとっては難しいのですが、心配いりません。
ポイントは、お客様に複数の選択肢を用意して差し上げることです。自家消費モデルの場合、客先の電気代が分からないので、あくまでも仮定として、屋根上の太陽光パネルで発電した電力量の自家消費率をこちらで設定します。発電した電力量に対して100%自家消費した場合と、自家消費率75%の場合、50%の場合といった形で3つ程仮定条件を用意しましょう。
こうすれば、客先の電力使用量を把握できなくても、自家消費による投資メリットの概算を提示できるのです。太陽光電力を自家消費すれば、外部から電力を購入せずに済むので、発電量と自家消費率、電力量料金単価を掛け合わせれば、年間の電気代削減額が求められます。電力量料金単価は、客先のエリアを管轄している電力会社の一般的な料金単価を用いればよいでしょう。
そのうえで、たとえば自家消費率75%の場合は、余剰売電する場合と、そうでない場合も考慮しておきましょう。工場の年間稼働日数は250日程度ですから、自家消費率100%は非現実的です。自家消費率75%の場合は、残りの25%をFIT売電する場合と捨てる場合のどちらかを選択できるので、双方をシミュレーションしておくのです。
忘れてならないのは、全量売電モデルを入れておくこと。自家消費を提案するのに、なぜFITとお思いなられるでしょうが、そもそも、この提案のポイントは、どれを選択しても、お客様にメリットがあるという点を示すことと、自家消費率が変わることによってメリットが変化するということをお客様に印象づける点にあるからです。
お客様から自家消費への興味を引き出させることに成功できれば、「より正確なシミュレーションを致しましょう」と言って、お客様から1年分の電力使用量データをいただき、現地調査をさせていただくようにすればよいでしょう。
留意点は、最初から蓄電池の提案は控えることです。蓄電池を入れると、初期投資が上がってしまいますし、何よりもシミュレーションが複雑になります。