SMA、1500V対応の分散型PCSを開発

143kW機、来期投入へ

PCS世界大手の独SMAが製品群を拡充する。目玉は1500V対応の143kW機で、分散型PCSにして連系点近くに集中設置する新機種。電力の変換ロスを抑えることができる。

SMAは太陽光発電用PCS(パワーコンディショナ)において、住宅用から産業用、産業用では分散型から集中設置型まで、全方位展開しており、来期も複数の新製品を市場投入する。

目玉製品の一つが分散型PCSの143kW機『Sunny Highpower PEAK3』だ。同社の分散型では初の1500V対応品である。

同製品は、高圧・特別高圧太陽光発電所向けの分散型PCSだが、連系点近くに集中設置するもの。分散型PCSと集中型PCSのいわば〝良いとこどり〟なのだ。

説明すると、まず分散型PCSにも弱点がある。分散型PCSを太陽光パネルの近くに分散設置した場合、交流に変換後、連系点まで低電圧で電力を送る間にロスが発生し、せっかく太陽光パネルを過積載しても、効果が薄れてしまうのだ。

だからといって、工夫もなく分散型PCSを連系点近くに集中設置すれば、細くて長い直流ケーブルが発電所内で絡まってしまい、電気工事費が嵩んでしまう。

そこで同社が考案したのが、アレイ近くに直流の接続箱を設置し、ケーブルをある程度まとめて連系点近くに集中設置された分散型PCSまで1500V送電する新たな設置方法だ。これによって、電気工事費を低減し、かつ電力の変換ロスを減らすことができる。

新製品の143kW機は壁掛け式で、入力数は最大3回路。受注開始時期は特別高圧発電所向けが19年4〜6月、高圧発電所向けが同7〜9月を予定している。

新製品の販売に併せて、同社は1500V対応の直流接続箱の販売も開始する。さらには様々なエネルギーマネジメントを可能にする同社の新しいエネルギー管理プラットフォーム『ennexOS』に対応した制御装置『Data Manager M』も提供する。同装置を入れることで、最大50台までPCSを一括で監視・制御することができるようになる。