[特別対談 第26回]

高性能という価値

LGエレクトロニクスジャパン 楠山恭央 Energy Business Part 部長 × ESI土肥宏吉社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長による特別対談。今回は、世界トップクラスの高性能パネルを量産する韓LGエレクトロニクスの日本法人でエネルギー事業部門を担当する楠山恭央部長だ。高性能という価値ついて考察する。

土肥氏●様々な外資系メーカーが日本に進出していますが、なかでも貴社の製品は非常に高性能です。品質重視の日本のユーザーと志向が合致して、受注が伸びているように思いますが、今回は、高性能という価値というテーマについて意見交換させていただければと思います。ではまず、現在の生産能力、製品のスペックなどから簡単に紹介してください。

 

楠山氏●親会社のLGエレクトロニクスは、韓国亀尾市に太陽光パネル工場を構え、セルからパネルまで一貫生産しています。年産能力はセルとパネルがそれぞれ1.9GWで、品目はすべて高効率な単結晶シリコン型です。全体の80%以上は、より高効率なN型単結晶型で、汎用的なP型単結晶型は300MW程です。

製品のスペックは、裏面に電極を移すバックコンタクト技術を導入した60セル360W品が変換効率20.8%で、もうひとつの60セル335W品はパネル変換効率19.6%です。

 

土肥氏●なるほど、日本のメーカーを凌ぎ、世界トップクラスの非常に高いスペックですね。LGエレクトロニクスさんは電機メーカーですから、業態としても、日本のパネルメーカーと共通項が多いようにお見受けします。日本ではどのように販売されてこられたのでしょうか。

 

楠山氏●日本法人LGエレクトロニクスジャパンの設立は1981年ですから、もうすぐ40年になります。親会社LGエレクトロニクスの日本向け家電販売を長く担ってきたので、2010年に太陽光パネルの販売を始めた時は、家電の括りでパネルを住宅向けに販売していくつもりでした。ただ、その後FITが始まり、事業用太陽光の需要が伸びたので、そちらへ出荷するようになり、今の形になったという経緯があります。

背景には、液晶や半導体、電子部品などで以前からお付き合いさせていただいていた大手商社さんの協力がありました。商社さんとは別部門でも、継続的に協業させていただいております。

日本では15年から17年まで年間200MWずつパネルを出荷し、今年は270MWに増え、18年末で累計1GWに達します。大型プロジェクトに採用いただいた分が残っているので、来年は300MW程度まで増える見通しです。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち) 1973年東京都生まれ。97年一橋大学商学部卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立し、代表取締役に就任。