[特別対談 第25回]

O&Mビジネスの課題

CO2O 酒井正行 社長 ✕ ESI 土肥宏吉 社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長による特別対談。お相手は、太陽光発電所の評価・診断に強いO&M(保守・管理)企業、CO2Oの酒井正行社長だ。2回目の登場となる今回はO&Mビジネスの課題について話し合った。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち) 1973年東京都生まれ。97年一橋大学商学部卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立し、代表取締役に就任。

土肥氏●太陽光発電設備のO&Mは、低圧太陽光発電所向けも、高圧・特別高圧太陽光発電所向けも、戦略的に進めていかなければ、事業化は難しいように思います。

とくに、低圧太陽光発電所向けのO&Mは、費用を抑えなければならないので、エリアを絞り、数を増やして、まとめて点検するなど、効率を追求していかなければ採算は合わないでしょう。高圧・特別高圧太陽光発電所向けのO&Mも、買取り価格が下がっているので、O&M費用の低減要求は一層強まります。限られた維持費のなかで、保険に加入し、メンテナンスも実施していくためには、メニューを上手に組むとともに、やはり事業者の方々にO&Mの価値を理解してもらわなければならないでしょうね。そのためにはパフォーマンスの向上が鍵だと思います。

 

酒井氏●土肥社長がおっしゃるように、O&Mビジネスには課題が山積しています。とりわけ、特別高圧太陽光発電所向けのO&Mに関しては、設備のケアに終始し、本来のバリューアップになっていないことが大きな課題だと感じています。

太陽光発電所は収益性すなわち効用が重視されるべき資産なので、本来は資産の価値をどう高めていくか、アセットマネジメントの観点から戦略的にO&Mを実施していかなければならないのですが、いまだに修繕や保守といった考え方が強く、隔たりができてしまっているように思えてなりません。

 

土肥氏●確かに、太陽光発電所を資産として捉える慣習が根づかないと、発電事業者は何のためにO&Mをやるのか、疑問を持つようになり、O&M業者も限られた予算のなかで簡易なチェックだけをするような形に陥ってしまいます。しかし太陽光発電所は一方で電力インフラですから、O&M業者にはインフラを守るという使命もあります。

O&Mの合理化や費用低減といった実務上の課題もさることながら、資産を運用するうえで、O&Mは戦略的に取り組むべきものであるという概念を事業者に示していくことも、O&Mビジネスの課題として重要な要素なのでしょうね。

プロフィール●酒井正行(さかい・まさゆき) 1975年千葉県生まれ。97年早稲田大学卒業後、映像関連企業、光ディスクメーカーを経て、2007年にバリュープラスを創業。その後太陽電池メーカーのメンテナンスを支援し、14年CO2Oを設立。評価・診断・O&Mの実績は1GWを超える。