厳格新JISへ対応万全!

LIXIL、強度2倍の傾斜地用架台を新開発

太陽光架台の設計基準、JIS(日本工業規格)の改訂を受け、住設・建材大手のLIXILは、強度が従来の2倍を超える傾斜地用架台を新たに開発した。どのような架台なのか。

開発中の傾斜地用架台。柱の黒い箇所が地中に埋設される部分

同社が新たに傾斜地用架台を開発したのは、太陽光発電設備用の基礎・架台の設計基準を示した『太陽電池アレイ用支持物設計標準(JISC8955)』の改訂がきっかけだった。

JISは2004年に制定後、11年に改訂されたが、17年4月に再び改訂された。背景には、FIT施行後、地上設置型の太陽光発電所が増え、従来のJISの範疇外の設備が多数建設。しかも太陽光発電所の相次ぐ倒壊事故がある。

そこで、経済産業省は、JISの改訂に際し、架台にかかる風圧荷重を決める風力係数の計算式を見直した。2年に亘る風洞実験をもとに、風力係数の算出法を改めたところ、新JISでは、基礎・架台に従来比1.5倍の強度が求められることになった。

さらに新JISでは、地表面粗度区分も変更された。地表面粗度とは、地表の状態が風に及ぼす影響の度合いで、建築業界では、「海上や海岸」、「田園」、「低層住宅街」、「市街」、「大都市」と、5つの地表面に区分し、各地表面が風圧に与える影響を関数化している。この区分で、従来太陽光発電設備は低層住宅街に相当するⅢに分類されていたが、新JISでは1段上のⅡに変更されたのである。

これらについて、LIXILエナジーの福島恭輔社長は、「風力係数と地表面粗度区分が変更された新JISでは、基礎・架台に従来比2.25倍もの高い強度を要求しています。メーカーにとっては非常に厳しい改訂といえるでしょう」と話す。

むろん、架台の価格上昇が制限なく許されるのであれば、基礎・架台の強度は比較的容易に高められよう。だが、現実には価格要求が強まっている。メーカーは、価格を抑えつつ、強度を引き上げなければならない。

ただ、いまのところ新JISには法的拘束力はない。電気事業法に遵守しさえすればよいという観点に立てば、04年版のJISに準拠した基礎・架台でも法令違反にはならない。それだけに、従来品が市販され続けているのが現状だが、経産省は18年度内にも電気事業法を改正し、新JISを法制化する方向だ。