[特別対談 第22回]

企業存続の条件

ウエストホールディングス 吉川隆 会長 ✕ ESI 土肥宏吉 社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長と業界のキーパーソンによる対談。今回のお相手は、太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)大手、ウエストホールディングスの吉川隆会長。企業存続の条件について意見交換した。

土肥氏●太陽光発電の専業会社で株式上場され、ビジネスモデルや成長性も含め、貴社はリーディング企業として業界を牽引されています。そこで今回は、いよいよ厳しくなってきたいま、太陽光関連企業が生き残るためには何が必要か、お伺いできればと思います。

 最近は、海外でも事業を展開されていらっしゃいますが、その辺りから状況をお聞かせください。

 

吉川氏●タイでは、現地に進出している日本企業に省エネ機器を販売・施工しています。今春から太陽光発電設備の販売・施工も始めます。今後はタイからアジアへ展開していくつもりです。

 

土肥氏●貴社は、時代の変化に合わせて、いち早く新規事業を立ち上げ、業容を変えながら成長されているようにお見受けします。貴社の規模で常に変化していくというのは、並大抵のことではないように思いますが、軸となるビジネスモデルは何なのでしょうか。

 

吉川氏●提携のビジネスモデルです。海外展開も、バンコクの情報紙や金融機関との提携が基盤です。

 私は建材の卸売りの事業から始めたので、B to C事業の経験はありませんでした。卸売りを通して販売業者の方々と出会い、皆さんの販売力に感服していたのですが、不思議と事業が継続しないのです。そこで販売業者の方々に販売のプラットフォームを提供し、そうこうしているうちに当社の設立に至ったという経緯があります。

 消費者へ直接提案する販売手法に課題を抱えていたので、当初はプロパンガス販売店や新聞販売店といった消費者と接点のある会社と提携し、その会社の信用力をお借りして事業を進めました。

 このビジネスモデルを30年も続けると、提携会社の先にいらっしゃる消費者のニーズが時代とともに徐々に変化するのに気づきます。たまたま遭遇したのが太陽光発電だったというわけです。

 

土肥氏●貴社が提携先のさらに先にいる消費者のニーズまで汲み取られて、提携先の利益に資するように、ウィン・ウィンの関係を築かれたからこそ、実現するビジネスなのでしょうね。では今後の市場動向をどのように見ていらっしゃいますか。太陽光発電市場はFITを活用した売電というニーズが拡大しましたが、今後は、自家消費や蓄電池、電力小売り、省エネなどへ変化していくと思われます。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち)1973年東京都生まれ。97年一橋大学商学部卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立し、代表取締役に就任。