[特別対談 第21回]
ベンチャー経営のあり方
Looop 中村創一郎社長 × ESI 土肥宏吉社長
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長による特別対談。太陽光発電所のEPC(設計・調達・建設)や電力小売りを手掛けるループの中村創一郎社長を迎えて、ベンチャー経営のあり方を考察した。
土肥氏●太陽光発電市場が縮小に転じたいまこそ正念場です。とくにFITの恩恵に与って成長したベンチャー企業。彼らの努力如何で太陽光発電の未来が左右されるといっても過言ではありません。今回は、太陽光ベンチャーの代表格であるループの中村社長に、ベンチャー経営のあり方についてお伺いします。
早速ですが、貴社は太陽光発電のEPCから電力小売りへ展開され、急成長を遂げています。ここ数年の売上推移を差し支えない範囲で教えてください。
中村氏●2016年3月期の売上高は115億円で、前期は233億円でした。今期は450億円程度を見込んでいます。概ね太陽光EPC事業が100億円、電力事業が350億円です。今期は電力事業の伸びが売上を押し上げた形です。
土肥氏●市場が縮小するなか、2年連続の倍増収とは目を見張る成長ぶりです。今年1月には本社を御徒町に移転され、順風満帆の様子が伺えます。
中村氏●売上拡大により勢いは出ますが、一つひとつの判断の影響が大きくなるため、経営の難易度が上がっています。以前のように大胆な判断が出来なくなり、ベンチャー企業の良さが失われないようにするのが大変です。
土肥氏●ところで、中村さんは国内の太陽光発電市場をどのように見ていますか。導入量が減り、価格低減も進み、年率20%程縮小しています。16年を100とすれば、17年は80%、18年56%、19年は40%で、20年には16年の34%まで縮小するというのが私の予測です。あくまでも太陽光発電所の新設市場ですから、O&M(管理・保守)なども加えれば、違った結果になると思いますが。
中村氏●確かに市場は縮小するでしょうが、商機はあると思います。O&Mや保険は残りますし、何より競合他社が減っています。最近は、他社で太陽光発電所を建設されたオーナーさんが当社に問い合わせに来られる機会が増えました。以前O&Mを委託していた企業が撤退し、委託先がなくなったのです。当社で代行すると、なかにはオーナーさんから新規の発電所建設の依頼を受けることもあります。一定程度の残り福はあるのかなと思います。
土肥氏●そうですね。専門的な技術やノウハウ、あるいは競争力のある企業は、今後も太陽光発電市場で生き残っていけるでしょう。ともあれ、市場が縮小すると、風力発電やバイオマス発電、新電力など、新しい事業を始める企業が多いのですが、太陽光発電で成功したからといって必ずしもうまくいくとは限りません。その点、貴社は新電力も順調です。今後はどのような構想をお持ちですか。