[特別対談 第9回]

品質とコスト

フォノソーラー 耿耿副総経理 × ESI 土肥宏吉社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長と業界のキーパーソンの特別対談。お相手は中国国営スメックグループの太陽電池メーカー、フォノソーラーの耿耿副総経理だ。高品質な太陽光パネルを製造する同社を迎えて、「品質とコスト」というメーカーの至上命題について語り合った。

土肥氏●貴社の太陽光パネルは、中国メーカーとしてコスト競争力もありますが、同時に高品質です。高品質な製品は割高で、安価な製品は低品質というのが世の常ですが、双方を追求されているので、非常に難しいことに挑戦しておられるのでしょう。

そこで今回は、品質とコストというユーザーからの2大要求にメーカーはどう応えていくべきか、ご意見を伺いたいと思います。では、簡単に貴社の紹介からお願いします。

 

耿氏●スメックグループは1978年に設立された中国の国営企業で、現在世界に17の支社を構え、年商は約8000億円です。造船や大規模工事、紡績アパレルなど、複数の事業を展開していますが、太陽光発電も主力事業のひとつです。実はスメックグループの経営トップ、祭済波総裁は、2004年にフォノソーラーを立ち上げて事業を率いてきた人物です。我々は今、グループを上げて太陽光発電事業を推進しています。

現在フォノソーラーの年産能力は、太陽光パネルが1GW、太陽電池セルが700MWで、太陽光パネルの累計出荷量は3.5GWに達しています。最近は日本への展開を強めており、ESIさんには大変お世話になっております。

 

土肥氏●いえいえ。私がフォノソーラーさんの存在を知ったのは、数年前の展示会でした。当時ドイツのEPC大手フェニックスソーラーでCTOを務めていたマンフレッド・べヒラー氏が貴社の財務健全性と貴社の製品を高く評価されていたのが印象的で、興味を持ちました。

実際、欧州の権威ある第3者機関DVNGLが主要13メーカーの太陽光パネルの長期安定性を7つの試験で評価したところ、トップの京セラさんに次いで第2位にランクインしたのがフォノソーラーさんでした。

それぞれの品質評価テストに全て合格したメーカーさんも、京セラさんとフォノソーラーさんの2社だけでした。この要因について、どのようにお考えでしょうか。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち) 1973年東京都生まれ。97年一橋大学卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立、代表取締役に就任。