[特別対談 第10回]

市場観測2017

ハンファQセルズジャパン 東洋一執行役員 × ESI 土肥宏吉社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長とキーパーソンの特別対談。お相手は日本市場で販売シェアを伸ばす韓国のパネルメーカー、ハンファQセルズジャパンの東洋一執行役員だ。2017年の市場予測と展望について意見を交えた。

土肥氏●貴社は、日本市場で、住宅用から低圧、高圧、特高まで、全方位に展開し、販売も好調のようですが、2016年はどのような1年だったのでしょうか。

 

東氏●お陰様で16年は、年初の計画を達成することができました。住宅用、低圧用、産業用と、各分野でそれぞれ販売目標を定めていたのですが、どれも前年よりも販売シェアを伸ばすことができました。パネルメーカーとして、一歩前進できたと思っています。

 

土肥氏●軽微変更ルールが変わり、発電事業者の方々は太陽光パネルを変更され、新しく設計し直されていますが、ハンファQセルズさんの人気が非常に高いので驚きました。なぜ、貴社は日本市場で販売シェアを伸ばすことができたのでしょう。

 

東氏●理由は主に3つあると思っています。1点目は、性能や品質、価格も含めて商品力が高かったことです。2点目は、当社の製品がお客様の間で認知され始めたこと。外資系企業に対する先入観をいい意味で払拭できました。

そして3点目は、かねてより気を配ってきた営業手法が功を奏したとでも言いましょうか。日本の太陽光発電市場は、長らく国内メーカーの方々がつくってこられた市場です。そこへ4〜5年前に参入し、商売させていただいているので、日本の商慣習を乱さずに、日本の市場に受け入れられるよう、丁寧に営業してきました。その努力が実を結び、徐々にお客様から信頼していただけるようになってきたと感じています。

 

土肥氏●では17年以降の市場の動向や展望をお伺いしたいのですが、まず4月から10kW以上の買取り価格が24円から21円に減額されます。さらに、改正FIT法が施行され、特高案件では入札制度が導入される方向です。コスト競争が激化し、厳しい市場になるのではないかという予測がありますが、私はそれほど悲観していないのです。

確かに、土地代や土地造成費、系統連系費はなかなか下がらないにしても、設備費や施工費は昨年かなり安くなりました。売電単価が21円に減額されても、事業性は充分見込めると思うからです。

もちろん、発電事業の利回りは多少下がるでしょうから、高利を求める事業者さんは離れていくかもしれません。ただ、再生可能エネルギーの普及に対して確固とした理念をお持ちの方はまだまだいらっしゃいます。ですから、私は17年も太陽光発電所の新規開発は続くと見ています。東さんはどのように見ていらっしゃいますか。

 

東氏●私も同意見です。当初は、15年がピークで、16年から17年にかけて一気に冷え込むのではないかと懸念していたのですが、改正FIT法の趣旨が把握できるようになって、当面は高水準の市場が続くと見ています。やはり昨夏から太陽光発電システムのコストが下がりましたから。売電単価が21円に下がっても、まだまだ開発が進みそうだなという印象です。

プロフィール●土肥 宏吉(どひ・こうきち) 1973年東京都生まれ。97年一橋大学卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立、代表取締役に就任。