気鋭のPV施工店

創電の事業魂

愛知県豊橋市に本拠を構え、太陽光発電所の販売・施工で業績を伸ばす創電。停滞ぎみの市場のムードなどどこ吹く風とばかりに年率30%超の成長を遂げる。同社の強さに迫った。

自社製の架台・基礎を使用した創電の太陽光発電所

国内の太陽光発電市場が縮小に転じ、太陽光関連事業から撤退する販売・施工店が増えてきたが、創電の吉田豊社長は、「これからが本番。やっとチャンスが巡ってきた」と意気軒高だ。

事実、同社はFIT開始からの数年間よりも、2015年頃から発電所建設の受注を伸ばし、いまや年率30%以上の成長を持続。17年7月期は年商10億円を超える勢いである。

強さの秘訣は、高度な施工技術とコスト競争力、そして2000棟以上もの太陽光発電設備を設置した実績に裏打ちされた信用力であるが、それらは幾度の苦境を乗り越えた経験から培われたものだった。

1999年に創業し、同社を率いてきた吉田社長が、太陽光発電設備の販売に着手したのは90年代である。吉田社長は当時をこう述懐する。

「私が取り組み始めた頃は、住宅用太陽光発電システムを扱う販売店の販売件数が1社あたり年に1件売れるかどうかという時代でした」。

それでも、創意工夫を凝らしながら、吉田社長は独自の手法で販売実績を伸ばしたが、06年に法人化したときだった。営業部員の力が及ばず7〜8ヵ月全く売れなかった時期もあった。

だが、苦しいときこそ、吉田社長は自ら営業の最前線に立って、太陽光発電システムを販売し、危機を乗り越えている。かつて住宅用太陽光発電システムの補助金が停止し、多くの販売店が撤退を余儀なくされたときも、吉田社長は「危機こそ商機」と社員を鼓舞しながら営業を強化、その結果、売上を伸ばしたのだ。

そんな同社の主力事業は、土地つき低圧太陽光発電所の販売・施工である。パネル出力70kWの過積載設計を施した低圧太陽光発電所を、10%以上の表面利回りを提示して投資家に拡販している。

とくにユーザーに好評なのが、施工品質の高さだ。同社は安全を念頭に、配線の取り回しやパネルの系統割り、マイクロクラック対策から漏電・防水・防汚対策までこだわり、オリジナル架台・基礎を使用する徹底ぶりだ。吉田社長は自らメーカー施工IDを取得するなど、施工への力の入れ方は目を見張るものがある。

創電の吉田豊社長