施工性が劇的に改善!
傾斜地用架台の常識を打ち破ったLIXILの技術力
住設・建材大手のLIXILグループが、昨春製品化した傾斜地用架台が人気を博している。一般の傾斜地用架台は、基礎の位置出しに時間がかかり、作業が煩雑になるが、同社は新しい仕組みを導入して施工性を劇的に改善させた。一体どのような架台なのか。
適地が減少し、山間部に太陽光発電所を建設する機会が増えているが、山を切り崩して開発するのはナンセンスだ。極力土地を造成せずに、傾斜面を活かした発電所づくりを模索したい。そこで、架台メーカーが開発したのが、太陽光パネルの角度を東西南北に調整できる傾斜地用架台だった。
だが、その傾斜地用架台、施工業者の間では評判がよくない。架台上部で角度調整する仕組みゆえ、架台の支柱を地平面に対して直角に立てる必要があり、基礎の位置出しが難しいのだ。
斜面は、東西方向だけでなく、南北方向にも傾いている。その傾斜面のうえに、地平面に対して垂直に立てる支柱の位置を決めることになるため、微妙な傾斜によって生じる細かい基礎位置のズレも考慮に入れなければならない。実際、現場では、あたりをつけて基礎を打ち、調整幅を設けながら、架台を組み立てていくほかに方法がなく、膨大な時間がかかる。
それだけに、施工業者からは、「傾斜地用架台を使うと施工費がいくらになるのか見当がつかない」、「いっそ土地を造成した方が安くつくのでは」と、不満の声が上がっている。
しかし、この課題を、アルミ架台メーカーのLIXILエナジーが解消した。同社の傾斜地用架台は、基礎との接合部に近い支柱の足が一方向に傾いて角度調整する仕組みになっており、支柱は、地平面に対してではなく、斜面に対して直角に立てる。ゆえに、斜面が東西南北にどう傾こうとも、斜面に対して直角に立てる支柱の位置出しをすればよく、設置が簡単なのだ。
同社の福島恭輔社長は、「当社の傾斜地用架台を採用いただいたEPC(設計・調達・建設)さんからは、平地に架台を設置する場合と作業時間がほとんど変わらないと、評価をいただいています」と胸を張る。