[特別対談 第11回]

トップメーカーの条件

SMAジャパン 今津武士代表取締役社長 × ESI 土肥宏吉社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長による特別対談。お相手は、PCS(パワーコンディショナ)の製販で長く世界トップに君臨する独SMAの日本法人、SMAジャパンの今津武士代表取締役社長だ。トップメーカーの条件とは何か、意見交換した。

土肥氏●今年4月から、FIT価格が21円に減額されるとともに、改正FIT法が施行され、入札制度が導入されることになりました。市場環境は大きく変化すると思いますが、「高品質」、「高耐久性」、「コストパフォーマンス」の3原則は、普遍的な顧客のニーズです。常に磨きをかけていくべきでしょうが、言うは易し行うは難しで、実行できるメーカーさんはそれほど多くはありません。

しかし今後は、太陽光発電を長期にわたって安定して発電する基幹電源にするために、PVプレーヤーは技術を向上させていかなければなりませんから、メーカーさんの役割は重要です。

そこで今回は、世界トップであり続ける貴社の取り組みをお伺いしながら、今後太陽光発電市場を牽引していくメーカー、すなわちトップメーカーとはどうあるべきかについて、考察を深められればと思います。

 

今津氏●貴社は、欧州の優れた製品を日本に持ち込んで、日本の太陽光発電産業の発展に寄与するという理念のもと創業されたと聞いています。その貴社が当社のPCSを選んでくださっているので、大変嬉しく思っています。

当社のPCSは、環境が厳しくなればなるほど、皆様のお役に立てる製品です。環境とは、火山の近くであったり、海の付近であったりという使用環境もありますが、FIT価格が下がるという市場環境も含みます。その点をPCSに詳しいプロの方々から評価いただく機会が増えてきました。

そこで、1100kW機や2200kWのパッケージシステム、さらに入力電圧1500V対応の2500kW機を売り出すことにしたのです。中型PCSも、従来の25kW機に加え、50kW機と60kW機という個性豊かな2機種を発売します。

 

土肥氏●最近は、特高案件の引き合いが増えています。18年から19年にかけては、一時的に特高案件向けの販売が増えそうですが、特高案件を抱えるお客様は、さすがに設備に詳しい方が多く、決まってPCSのパフォーマンスを気にされますね。もちろん貴社の話題になりますが、私はとくにパッケージシステムに興味があります。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち) 1973年東京都生まれ。97年一橋大学卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立、代表取締役に就任。