[特別対談 第18回]
多様化する顧客ニーズ
イソフォトンジャパン ハビエル・メストレス社長 × ESI 土肥宏吉社長
ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長によるキーパーソンとの特別対談。今回はスペイン生まれの太陽光企業イソフォトン日本法人のハビエル・メストレス社長をお迎えして、多様化する顧客ニーズについて意見交換した。
土肥氏●高効率化や価格低減、長期信頼性の向上といった顧客の要望に応えるために、メーカーの方々が努力してこられた結果、太陽光発電の導入量が劇的に急増しました。ただ、市場が拡大し、成長すると、また新しいニーズが生まれるものです。実際、太陽光発電を電力インフラの一端を担う電源へと成長させていこうという段階に入ると、太陽光パネルも、発電性能や価格、品質といった従来の価値に加え、新しい付加価値が求められるようになりました。
そこで今回は、様々な要望をいち早く製品に反映されていらっしゃる貴社に、多様化する顧客ニーズというテーマで意見をいただければと思います。ではまず、貴社の歴史を簡単にお話しください。
メストレス氏●イソフォトンは、太陽光企業のなかではパイオニア的存在です。設立は1981年ですから、いまから36年も前のことです。当時の市場規模は小さく、太陽電池自体それほど知られていませんでした。
当社は、スペイン・マラガ大学の研究者によって設立された経緯もあって、かねてより技術開発を軸に事業を進めてきました。現在、中国のフルオートメーションラインで単結晶型、多結晶型ともにセルからパネルまで生産しており、セルの年産能力は500MW、パネルは1GWに達していますが、これにとどまりません。太陽エネルギーに関する新技術に力を入れ、例えば、追尾式架台や集光型システム、太陽熱パネルも開発してきました。
その一方で、当社は太陽光発電所開発の海外展開を進めてきました。これまでに60ヵ国で案件を立ち上げ、その数300を超えています。
土肥氏●太陽光業界では、36年もの歴史あるメーカーは稀有な存在です。その間に培われた技術や知見、経験など、他社にない強みをお持ちなのでしょう。特に、欧州の市場が縮小し、多くの欧州企業が撤退・廃業を余儀なくされるなか、いまなお貴社が健在でいらっしゃるのは、柔軟な経営戦略をお持ちで、海外で太陽光発電所を開発し、そこにパネルを販売していく体制を早くから築かれたからでしょう。ところで、日本に進出されたのはいつですか。日本での取り組みや実績なども教えてください。
メストレス氏●2012年に日本法人のイソフォトンジャパンを設立しました。東日本大震災が起こる前まで、日本の市場はそれほど大きなものではなかったのですが、成長する可能性を秘めており、準備していたのです。そして12年7月にFITが始動し、太陽光発電の導入が加速すると、我々もメガソーラーの案件開発とパネル販売を本格化しました。
競合他社にはない強みは、案件開発における知見や経験がひとつ。さらには、高変換効率、ハイパフォーマンスに加え、マイクロストラクチャーガラスを用いた当社独自のパネル技術です。これは、パネルのガラス自体に反射を防ぐ構造を施したもので、防眩性の高いパネルです。近隣住民に配慮しなければならない発電所オーナーから重宝されています。