新たな時代を切り拓く!
屋根上太陽光の魅力と可能性
世界トップの高性能パネルを製造する米サンパワー社と、先進的な屋根借り発電事業を展開する第二電力。協業する両社は、屋根上の太陽光発電に可能性を見出している。サンパワージャパンの田尻新吾社長と第二電力の寺井宏隆会長が意見を交わした。
田尻氏●FITが始動して5年が経過し、メガソーラーの新規開発は減ってきましたが、低圧太陽光発電は依然堅調です。今後も屋根上設置に可能性があると思っていまして、第二電力さんの取り組みこそ、市場を切り拓く新しいモデルになると、期待しています。では、貴社の事業モデルについて、説明いただけますでしょうか。
寺井氏●当社は設立5年目のベンチャー企業ですが、これまで低圧太陽光発電設備を900ヵ所近い屋根に設置してきました。
事業モデルは、まず当社が、中小企業の工場や倉庫の屋根をお借りして太陽光発電設備の設計、施工、保守点検を手掛けます。さらにSPC(特別目的会社)を立ち上げ、そこに屋根の貸借契約と太陽光発電設備を集約します。SPCは銀行融資や出資を受けて設備を運営し、FIT売電の収入で、屋根の賃料や金利、配当金などを払うわけです。
特徴的なのが、1つのSPCで50〜60億円の資金を調達し、屋根上の低圧太陽光発電所を300〜400サイト運営していること。そしてSPCはしっかりと収益を生む事業となり得るため、出資していただく企業さんにとっても、充分魅力があると思っています。
第1号案件ではシナネンさんが出資をされ、第2号案件では、米国大手企業が自社の環境対策への取り組みの一環として出資されています。そして現在次の案件を進めているところです。
田尻氏●貴社の屋根借りモデルがユニークなのは、有効利用されていない屋根の上にメガソーラーに相当する発電設備をまとめられ、何より屋根のオーナーには一切の負担なく設備を取りつけておられる点でしょう。
特に、メガソーラー建設は電力需要の少ない地域に電源をつくることになりますが、屋根上ソーラーは需要地に供給設備を置けるので地産地消が実現します。今後、FITに頼らない事業モデルへの進化が可能になると思います。
ともあれ、貴社が屋根借りモデルを成立されていらっしゃることそれ自体に興味があります。屋根借りモデルの実施は、現実には難しく、構想はあってもなかなか実現していません。どのように進めてこられたのでしょうか。
寺井氏●屋根借りモデルが普及しなかったのは、登記上の問題です。日本の法律では、土地に建てた建物は登記できるのですが、建物の上の屋根だけを登記することはできません。登記できないものは担保としての適格性に欠けるという理由で、銀行からの融資が得られず、屋根借りモデルが進まなかったのです。
我々は、キャッシュフローの予測のなかに、屋根借りが継続できないリスクを織り込みました。屋根の貸し手となる企業が倒産し、さらに建物を引き継ぐ者も見つからず、発電事業が中断してしまう確率を定量化し、事業計画に盛り込んだのです。この計算手法を金融機関と共に討議し、作りあげた結果、融資いただけるようになったのです。