[特別対談 第16回]

外資の対日進出 成功の鍵

カナディアン・ソーラー・ジャパン 山本豊社長 × ESI 土肥宏吉社長

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長による特別対談。今回は、早くから日本に進出して成功した外資系太陽光パネルメーカー、カナディアン・ソーラー・ジャパンの山本豊社長をお迎えして、外資企業が日本進出で成功するための要件について考察した。

土肥氏●山本さんは、以前他の外資系太陽光パネルメーカーさんの社長を務められていたので、日本の太陽光発電市場での経験・知見がおありと存じます。カナディアン・ソーラー・ジャパンさんに移られてからも、その経験を遺憾なく発揮され、住宅用のパッケージ商品や産業用の高出力品の販売で成功されていらっしゃいます。

そこで今回は、外資系企業が日本に進出して成功するためには何が必要なのか、考察を深めることができればと考えています。

 

山本氏●私はカナディアン・ソーラー・ジャパンに移ってから1年半になりますが、当初親会社のカナディアン・ソーラーから「住宅用を伸ばしてほしい」と、要請を受けました。FIT始動後、産業用を中心に展開してきましたが、2015年に潮目が変わり、産業用の伸びが鈍化し始めたので住宅用に力を入れようというわけです。そこで、着任早々、色々と策を練りました。

ちょうど本体はパーク技術を導入した高効率単結晶パネルを16年内に日本市場に投入しようとしていたので、この新製品を住宅用に提案しようというのがひとつです。さらに、高効率パネルを組み込んだシステムを、出力を固定したパッケージ商品として販売するという戦略を策定をしたのです。お客様の興味は、パネルよりもシステムのコストやパフォーマンスです。早く決断でき、早く設計できるパッケージ商品はニーズがあるだろうと思いました。

満を持して住宅用に打って出たところ、反響をいただき、16年の住宅用販売は前年比3倍増の90MW程だったと記憶しています。

 

土肥氏●パネルメーカーさんは、コストやブランディング、あるいはビジネスモデルなど、各社各様に武器があって、競争を繰り広げていらっしゃいますが、やはり技術面の争いが軸にあって、切磋琢磨していく形が望ましいと思います。いま海外メーカーさんはパーク技術をはじめ、高出力品の開発に積極的なので、技術がさらに進歩することを強く期待しています。

それにしても、貴社の住宅用への展開は非常にタイミングよかったと思います。産業用一辺倒だった販売・施工会社さんの住宅用回帰の動きは顕著ですし、パーク技術の高効率単結晶パネルは、性能とコストのバランスが絶妙です。貴社は技術開発に相当力を入れられているのでしょうね。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち) 1973年東京都生まれ。97年一橋大学商学部卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立し、代表取締役に就任。